童話作家 安房直子さんが遺した景色

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知ってしまった耳飾りの秘密『奥さまの耳飾り』


『奥さまの耳飾り』


☆あらすじ☆

お屋敷の奥さまが耳飾りの片方を無くしてしまいました。
薄桃色の大きな真珠の耳飾りで、お屋敷のどこかに落としたようなのです。

それは、奥さまが御結婚の時に旦那さまから贈られた品物でした。
旦那さまは大金持ちの貿易商でほとんどを海の上にいるのだそうで、
小夜がこのお屋敷に奉公にあがって半年経つのですが、
まだ旦那さまにはお目にかかったことがありません。

その日の夕暮れ時、小夜は庭に落ちている耳飾りを見つけたのです。

くちなしの木の下に、こぼれた露のように落ちていた真珠を
小夜は自分の右の耳につけてしまいました。

すると、小夜の耳に不思議な音が聞こえてきました。

それは海の渚の音でした。


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その宝物はあまりに綺麗で魅惑的で、惹きつけられるものだったのでしょう。
小夜はこんなことをしてはいけないと自分に言い聞かせながらも
それを身につけてみたいという思いを抑えることが出来ませんでした。

真珠の耳飾りの秘密は奥さまと旦那さまだけの秘密でした。
たった一度だけならという思いが消してしまった悲しい魔法。

味戸ケイコさんが描く、夜の海と満月、そしてあれは奥さまの後ろ姿でしょうか。
なんとも切なく、悲しい、そして美しい挿絵が印象的です。






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あんたたちは、やっぱりわたしの孫なんだよ。『遠い野ばらの村』


『遠い野ばらの村』


☆あらすじ

たったひとりで小さな村で雑貨屋を営んでいるおばあさん。
おばあさんは、店に買いに来る村の人や品物を卸しにくる問屋さんに
よく遠い村にいる息子の話をしました。

そこは綺麗な川が流れていて、たくさんの野ばらが咲いています。
息子の家族は奥さんと三人の子どもたち。
一番上の子は女の子です。

おばあさんは孫娘のためにゆかたの反物を買いました。
ゆかたを縫いながら、自分の若い頃にそっくりな孫娘の姿を
はっきりと目に浮かべるのです。

それは春のはじめの夕暮れ時でした。
そんな娘が本当にやってきたのです。

「おばあちゃん、こんにちは。」

店番をしながら、ゆかたを縫っていたおばあさんが顔をあげると
店の入口に、今まで自分が考えていたとおりの娘が立っていて、
にこにこ笑っていたのです。



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反物を買ってゆかたを縫っていたり、
小豆を煮て、もち米を炊いておはぎを作ったりする場面は
ずいぶん前のことを思い出して懐かしくなりました。

野ばらの石鹸や野ばらの塩漬けがのってる白いおまんじゅうとか、
見たことはないけれど「あったらいいな」と楽しい空想に思いを馳せました。

きっとおばあさんもおんなじだったのかもしれません。
「こうだったらいいな」と思いながら息子や孫たちのことを想像することが、
日々を楽しく前向きに生きていく糧になっていたのだと思うのです。






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[ 2019/09/16 00:00 ] お話「た行」 | TB(-) | CM(0)

まさかの結婚式に招待されました。『猫の結婚式』


『猫の結婚式』


☆あらすじ☆


ある日、僕の家に出入りしていた野良猫のギンが結婚すると言って
招待状を持ってきました。

家で飼っている綺麗な白猫のチイ子とは比べものにならないほど
下品で汚くて傷だらけの野良猫です。
小さい頃から、たまにチイ子の牛乳をあげたりしていました。

「たった一人の人間として、僕の門出を祝福してやってください」
と言うギンに、僕は「わかったよ。」と答えました。

結婚式の日は、どしゃぶりの雨でした。

僕は最近元気のないチイ子に「ちょっと出かけてくる」と言い外に出ました。

激しい雨の中歩いていると、あとからあとからレインハットをかぶった猫たちが
追い抜いていきます。

案内されて駐車場の地下へ続く階段を降り、宴会場へ行くと
テーブルにぎっしりと猫たちが仰々しく座っていました。

案内された席が末席じゃないかと思った時、新郎新婦が入場してきました。



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たぶん軽い気持ちで出席した僕に、まさに青天の霹靂とも言うべき事態が発生。

まさか、まさかの結婚式。

でも、「僕」にこれまで良くしてもらったこと、とても感謝していると思うのです。
「お父さん」のように思っているから末席にしたのでしょう。

そして、二十日ほど過ぎて届いたハガキ。
それは僕を思っての言葉だと思うのだけれど、
これでまた落ち込んでる姿を想像すると、ちょっと笑ってしまいました。






今日は父の日
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[ 2019/06/16 00:00 ] お話「な行」 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

すきっぷ

Author:すきっぷ
安房直子さん作品に恋した「すきっぷ」です。


*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


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