童話作家 安房直子さんが遺した景色

安房直子さんの作品を紹介しています。
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不思議なてまりが出会わせた身分違いの友だち『てまり』


『てまり』


☆あらすじ☆

お姫様の遊び相手がはしかになって寝込んでしまいました。

そして、はしかは国中に広まったために、お姫様に感染っては大変だと
お屋敷への子供の出入りが止められてしまいました。
遊び相手が居なくなったお姫様はおもちゃにもお菓子にも飽きてしまい
かんしゃくを起こして泣いていると、突然庭の方から声が聞こえました。

「あんた、どうして泣いてるの」


おせんだと名乗るその少女は、つんつるてんのかすりの着物を着て、
髪は後ろでひとまとめに結んで、藁草履を履いていました。

おせんは色とりどりの木綿糸でかがった大きなまりを持っていました。
その糸は、機織りで使ったはた糸の残りをおばあさんが集めて、
つなぎ合わせて、やっとこしらえてくれたものなのです。

そして、まりの芯には鈴が入っていて転がすたびに、りんりんと
いい音をたてるのです。



tetete




出会う前に不思議な夢を共有していたお姫様とおせん、
二人の出会いは必然だったように思います。

そして、二人が望んでいたのはただ純粋に
一緒にいて楽しい時間を過ごしたかっただけなのでしょう。


ただ、友達でいたいだけ。

どうすることも出来ない境遇に、やるせなさが残るお話でした。







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[ 2019/06/02 00:00 ] お話「た行」 | TB(-) | CM(0)

祖父が愛したカーネーション『カーネーションの声』


『カーネーションの声』


☆あらすじ☆

亡くなった祖父が残してしていった、庭の一画にある十坪ほどの温室。

その中にはさまざまな花や観葉植物の鉢植えがぎっしりと育っていましたが、
祖父が亡くなってからは植物の世話をする人が誰もいなく、しおれていきました。

そして、誰が言い出したか温室を取り壊してアパートを建てることになりました。

温室にあった鉢植えや球根は欲しいものは貰ったり、隣近所に分けました。
しかし、丈ばかり高くて花がとても小さい貧弱なカーネーションは
誰の手に渡ることもなく根こそぎにされて庭の隅に捨てられました。

そして、その跡地には南向きの独身用の小さな8部屋のアパートが建ちました。

アパートに入ったのは全員男性でした。

ある日のこと、部屋代を払いに来た人が昼間部屋にいると不思議な声がすると
言うのです。


kkkkkkk




おじいさんが丹精込めて育てた花たち。
中でも痩せっぽちで貧弱なカーネーションへの思い入れは深かったのでしょう。

カーネーションは母の日に贈る花として有名で花言葉も「母への愛」だそうですが、
西洋の花言葉には、「あなたに会いたくてたまらない」というのもあるようです。
なんだかこの花言葉、おじいさんとカーネーションたちの想いのようにも思えて
勝手に意味を重ね合わせてしまいました。

おじいさんが愛情込めて育て、その思いに応えて小さいながらも懸命に咲いていた
花の末路。

淋しさや切なさがこみ上げる、健気に咲いた花の物語です。






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[ 2019/05/26 00:00 ] お話「か行」 | TB(-) | CM(0)

踊りが上手になりたいお嬢さんへ『うさぎのくれたバレエシューズ』


『うさぎのくれたバレエシューズ』


☆あらすじ☆

その女の子はバレエ教室に通い始めて5年も経つというのに
踊りが上手になりませんでした。

くるくると鮮やかに回れないし、先生の言うとおりに手も動きません。

それでも、音楽が鳴れば踊りたくてたまらなくなるのです。

女の子の願いはたったひとつだけでした。

「どうか、踊りが上手になりますように」


ある朝のこと、不思議な小包が届きました。
それは一足のバレエシューズでした。
そして、一緒に入っていたカードにはこんなことが書かれてありました。

「踊りが上手になりたいお嬢さんへ 山の靴屋」


barerere




好きなのに、それが上達しないもどかしさや辛さ。

自分なりに頑張っているのに思ったように出来なくて、
他の人達がどんどん先に行ってしまう不安で押しつぶされそうになる。

願うだけでは叶わないと分かっていながらも、月や星、遠い山にまで
お願いをしてしまう気持ち。

これまでに何かに夢中になって、それでもうまく行かなかった経験がある人には
この少女の気持ちを自分に重ねてしまうのではないでしょうか。

物語のように、笑顔で終われなかった結果であったとしても、
夢中になれることが見つかって、もっと上を目指して努力する気持ちは
失くしたくないと思いました。

なにかに夢中になっているときって、私はただひたすらに楽しいですから。





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[ 2019/05/19 00:00 ] お話「あ行」 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

すきっぷ

Author:すきっぷ
安房直子さん作品に恋した「すきっぷ」です。

*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


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