童話作家 安房直子さんが遺した景色

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涙を知った魔物のお話『小さいやさしい右手』


『小さいやさしい右手』


☆あらすじ☆

森の中にある大きなかしわの木に子どもの魔物が住んでいました。

ほんの子どもなので知っている魔法はひとつだけ。

おまじないをして右手をひらくと、
片手に持てるものなら何でも出すことができるのです。


そして、知り合った女の子のために魔法を使うのですが、
あることがきっかけで魔物は女の子に憎しみの気持ちを持つようになってしまいます。

最初は、裏切られたという驚き、それから悲しみに変わり、
だんだんと真っ黒いいじわるな心が湧き上がってきました。


そして、しかえしをしてやろうと思い立ったのです。


柏(かしわ).jpg



憎しみのたね

”安房さんはどんな思いでこれをかいたんだろうか”

”しかえしって、魔物に何をさせるつもりなんだろう”

そう思うと気持ちが締め付けられそうに苦しくなりました。

憎しみの種はいとも簡単に大きく育ってしまうものだと思います。

相手を信じていれば尚更、裏切られたという思いは
自分では止められないくらい大きくなって、
本当のことさえも見失ってしまうのかもしれません。



「許す」ということの辛さ

魔物は女の子にしかえしをしてやろうと会いにいきます。

もう20年の時が流れていました。

そして、かつての女の子に会ったとき、自分の過ちに気づいてしまいます。

しかえしの相手は女の子ではなかったのです。

自分のために泣いてくれている人の優しさに触れ、
魔物は初めて涙というものを知ります。

今まで泣くことを知らなかった魔物は、
裏切られたと思った時、悲しくても涙をこぼしませんでした。

そして、かつての女の子は、まだ子どものままの魔物に
「憎しみ」を「許し」に変えるようにと語りかけます。

泣くことを知らなかった魔物が
「許す」という言葉を知り涙を流す場面は、
読んでいて涙が止まりませんでした。

魔物の涙には「許す」ことの辛さがあったのかもしれません。

”こんな時、私は許すことができるだろうか”

何度も読み返すたびに自問する場面ですが、
今の私には、まだまだ難しいなと思うところです。

それでも、辛さを乗り越えていく魔物の姿に
救われる思いがしました。



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[ 2013/12/08 00:00 ] お話「た行」 | TB(-) | CM(0)
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