童話作家 安房直子さんが遺した景色

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ひとりぼっちの猟師と子ぎつねのお話『きつねの窓』


『きつねの窓』


☆あらすじ☆

一人の猟師が、ぼんやりと考え事をしながら歩いていると、
道に迷ったのか今まで見たことのない一面ききょうが咲いている野原に出てしまいました。

あまりの美しさに、少し休んでいこうと腰を下ろしたとき、目の前を白いものが走っていきました。
それは、まだほんの子供の白ぎつねでした。

捕まえようと子ぎつねの後を追うのですが、
ききょうの花畑の中で見失ってしまいました。


その時、後ろで「いらっしゃいまし。」という声が…。

染物屋の店員に化けた子ぎつねに、
ききょうの汁で染めてもらったお指でひし形の窓を作り、その窓を覗くと、
もうけして会うことの出来ない懐かしい人に会えるのです。

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何故、猟師と子ぎつねは出会ったんだろう…
何故、子ぎつねは自分の正体がバレてしまう危険をおかしてまで、
猟師の前に現れたんだろう…それが知りたくて、何度も読み返していました。

きっと子ぎつねは猟師も孤独だと知っていたのかもしれません。

おんなじ、ひとりぼっち…。

もしかしたら子ぎつねのお母さんを「だーん」と鉄砲でやった相手かも知れません。

きっと子ぎつねはずっと猟師をみてきたのでしょう。、
そして、猟師の中にある淋しい気持ちに気づいたのかもしれません。
だから、ききょうの花から教えてもらった大切な魔法をくれたのだと思うようになりました。

少しでも、猟師の気持ちが癒されて前向きに生きられるように。

憎む気持ちと許す気持ち。

過去にしがみついて生きることと、未来をみて生きること。

そんなことを教えてくれている作品だと思えるようになりました。

ひとりぼっちの猟師と子ぎつねの、
切なくもあたたかい心の交流を描いた作品です。



一人ひとりの心に問いかけてくる物語


「安房直子さん作品」で検索してみると、
必ずといっていいほど、この作品のことに触れています。
『きつねの窓』は安房直子さんの代表的な作品です。

この作品は学校教材(教科書)にも取り上げられているようですが
私にとっては解釈が難しい作品なので、受け入れられていることがとても不思議な思いがします。

人それぞれに自由な解釈を委ねられている作品だから教材として良いのでしょうか。


生前の安房さんの言葉に「ささやかな願い」として
とても印象深い言葉があります。

「私の作品は、あまり切りきざまずに、
まるごと読まれてほしいと願っています。」


この言葉が意味するところを私なりに解釈するとすれば、

「国語を学ぶための材料としてよりも、
子供たちの自由な創造の中で幾通りもの展開が生まれる事を願う」

そんなふうにも読み解ける気がしています。


私がこの作品を知ったのは中学生の時でした。

こちらにも書いていますが当時読んでいた少女漫画に、
『きつねの窓』について書かれていたのを目にしてからでした。

主人公が子ぎつねや猟師のように、
指でひし形をつくって覗き込む場面がありました。

短い場面でしたが、とても印象に残っていて『きつねの窓』がずっと心の中に引っかかっていました。

それから数年後、偶然に街の本屋さんで再会することになり、
『きつねの窓』のみならず、安房さんの作品に惹かれていくことになりました。



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[ 2013/08/14 00:00 ] お話「か行」 | TB(-) | CM(0)
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