童話作家 安房直子さんが遺した景色

安房直子さんの作品を紹介しています。
童話作家 安房直子さんが遺した景色 TOP  >  2022年01月

胸の中のかまどが真っ赤に燃えている女の子のお話『わるくちのすきな女の子』

わるくちのすきな女の子

☆あらすじ☆

人の悪口を言うのも、人にいじわるをするのも好きな女の子がいました。

この女の子は咲きたての花のような綺麗な顔をして、頭も良くて、遊びも上手でした。
ゴム飛びも一番高く飛べる女の子に友達は憧れて集まってくるのです。
そして、女の子はその中でいつも一番威張っていました。

ゴムとびが下手な友達を仲間外れにしようと言った時も、ほかの友達は同調していきました。

ある日のこと、灰色のボロボロの服を着たみすぼらしいおばあさんから、虹のように美しいゴムひもを借りてゴムとびをしてみると、見えるはずのない遠くの海が見えたのでした。

「見えたわ。」

思わず手を叩こうとすると、女の子の両手は灰色のつばさでした。

女の子は小さな灰色の鳥になって、今、公園の上に浮かんでいるのです。

kageee



★★★★★★★★★★



灰色の鳥の姿になった女の子は魔法をかけたおばあさんを探しに飛び出します。
町中を探し回り、ずっと遠くの山々を越えていきます。

その先々で出会った花やきつねにも悪口を浴びせかける女の子。
そして、女の子は「わるくち鳥」と木や草花、森の動物たちから噂されるようになります。

女の子自身も分かっていました。
胸の中に真っ黒いかまどがあって、ゴーゴーと音をたてて真っ赤に燃えあがると、悪口があとからあとから沸いてきて、誰かに浴びせかけると何とも言えない良い気持ちになることを。

自分でもどうにも出来ないと思っていた激しい意地悪な炎は、人間に戻りたいという強い気持ちで出会ったさまざまな存在との交流のなかで変化していきます。
今まで悪い方向に動いていた強固な気持ちが、根気強くて勇気のある子だと言われた瞬間は、読んでいて何故か私も肩のチカラが抜けていくような気がしました。


最後に、物語の中で特に印象的で、鼻の奥がツンと苦しくなった台詞を記しておきます。

「あの二人は、きっと幸せに生きてゆくよ。底抜けのお人好しの上には、幸運の星がついているんだよ。」


happyyyy

※星と言っているのに、何故かこんな青空が頭に浮かんだので。






[ 2022/01/23 00:00 ] お話「わ行」 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

青と緑璃

Author:青と緑璃
安房直子さん作品に恋した「すきっぷ」改め「青と緑璃」です。


*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


はじめに



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