童話作家 安房直子さんが遺した景色

安房直子さんの作品を紹介しています。
童話作家 安房直子さんが遺した景色 TOP  >  2019年04月

きつねの親子とお客様『きつねのゆうしょくかい』


『きつねのゆうしょくかい』


☆あらすじ☆

「ねえ、お父ちゃん。今度うちへお客を連れてきてちょうだい。
夕食会をしたいの。」

ある朝、きつねの女の子はお父さんきつねにいそいそと話しかけました。

「せっかくのあれ、使わなくちゃ…」
きつねの女の子は、戸棚に並んだ六つのコーヒーカップを指さしました。
それは娘にせがまれて、お父さんきつねがやっと手に入れてきたものでした。

お父さんきつねはお客なんてバカげたことだと思いました。
第一、ごちそうが倍だけ減るのです。

「人間のお客を呼んでみたいと、ずっと前から思ってたの」

まるで、初めからそれだけ考えていたように、娘のきつねはきっぱりと言いました。



shosho



夕食会だなんて、どんな料理が出るのか興味がありましたが、
メニューを見ただけでも美味しそうな料理が並んでいました。
最後には焼きリンゴとお茶も出るとか。

お父さんと娘だけの暮らし。
女の子は友達が欲しかったのかもしれません。
お客さまを招いて楽しい時間を過ごしたかったのでしょう。
それも、人間のお客さまを。

はたして、お父さんは人間のお客さまを連れてくることが出来たのでしょうか。

お父さんの娘を思う気持ちと行動がなんだか笑ってしまいました。
お互いのいろんな勘違いも手伝って、なんとかテーブルに揃った六人。
ずっと前からの知り合いのように話が弾んで、楽しい時間を過ごせたようです。

このラスト、私は好きな流れです。
ビックリして、クスッて笑って、これで良かったのかもね~って思って。

父娘、お客さま、それぞれのやりとりが面白くて、楽しいお話でした。


koko



*今日は平成最後の日。色々あったけれど、ありがとうございました。






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[ 2019/04/30 00:00 ] お話「か行」 | TB(-) | CM(0)

夕陽が沈んだあとの空の色『夕空色のかばん』


『ゆめみるトランク』~北の町のかばん屋さんの話~より
『夕空色のかばん』


☆あらすじ☆

北の町、ここはまだ雪が舞う冬だというのに、
町外れにある小さなかばん屋のショーウインドーだけは春なのです。

南の港町にかばんを売りに行ったときに買ってきた水仙が
窓いっぱいに飾られ、優しい春の歌を歌っていました。

ある日、まるで水仙の花のようなお客さんがかばん屋に来ました。
そして、「かばんをこしらえてください」と言うのです。

かばん屋は注文を受けてかばんを作るのは始めてでした。

初めから持ち主が決まっていて、それを持つ人の手がありありと見えるかばん。

心をこめて作ったかばんは素晴らしい出来上がりでした。
軽くて使いやすくて、とても優しい感じの夕空色のかばんです。



yuuu




太陽が沈んだあと、まだほんのりと太陽の光が残った空の色が好きです。
太陽の赤と、夜の闇が混ざり始めて、なんとも言えない柔らかい色に包まれる空。
会社帰り、車のハンドルを握っているというのに、うっかり見惚れる情景です。

そんな色の革で作ったかばんなんて、きっと素敵でしょうね。
自分の好きな革で好きなように作る、オーダーメイドのかばん。
いつかはそんな贅沢な自分だけのかばんを作ってみたいものです。



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[ 2019/04/29 00:00 ] お話「や行」 | TB(-) | CM(0)

子猫を捨ててきなさいと、さっきお母さんが言ったのです。『やさしいたんぽぽ』


『やさしいたんぽぽ』


☆あらすじ☆

誰もいない日が暮れた春の野原に、女の子が立っていました。
女の子はエプロンの中に白い子猫を隠していました。

子猫は静かに眠っています。
さっき、お母さんがこの子猫を捨ててきなさいと言ったのです。
「眠っているうちに、さあ、早く早く」と。

捨てられた子猫は、そのあとどうなるでしょう。
真っ暗闇の中、目を覚ました子猫が鳴いても誰もいなくて…。
考えただけでも恐ろしいことです。

女の子は泣きながらつぶやきました。
「助けて、助けて、誰か助けて…」

すると、女の子の足元がピカッと光ったのです。
まるで黄色い豆電球が灯ったように。
そして、黄色い灯りはあっちにもこっちにも広がっていきました。

それは、特別な夜だけに光るたんぽぽだったのです。


tanpopo.jpg




きっとこの猫は元々捨て猫だったのでしょう。
たぶん、生まれて間もない小さな命。
それを見つけた女の子は可哀想になって家に連れ帰ったのでしょう。

もし、この子の家で猫か犬、動物を飼っていたなら迎え入れられることも
容易だったかもしれません。
でも、動物を飼っていなければ、いきなり連れてこられても、
飼うことを躊躇してしまうお母さんの気持ちも分かる気がします。
きっとお母さんも女の子を悲しませたいわけでは無かったはず。

優しいたんぽぽたちに出会ったおかげで子猫は安らげる場所へ
旅立つことができました。

ホッとした気持ちと、本当にこんな場所があったら良いのにと、
思わずにはいられなくなった物語でした。


shiro






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[ 2019/04/28 00:00 ] お話「や行」 | TB(-) | CM(0)

ひと粒のガラス玉を草のツルに通して『ころころだにのちびねずみ』


『ころころだにのちびねずみ』


☆あらすじ☆

ころころだにの谷底にひとりぼっちで住んでいる男の子のねずみがいました。
ちびねずみは恥ずかしがり屋で怖がり屋で、いつも自分の穴に引っ込んでいました。

だから、空は谷底から見える細長い空しか知らないし、
花は、谷に咲くユリの花しか知らないのです。

でも、ころころだには住心地の良いところです。
冷たい水も流れているし、緑の草もたくさんあるし、
ときどき上の方から季節の木の実などが落ちてきたりします。

「だから、僕ちっとも不自由してないんだ。
おともだちなんかいなくたって平気さ」

でも、本当は…。

ある晩のこと、ねずみは谷底に座って、細長い空を見ていました。
すると、たくさん光っていた星の一つが急にキラキラ光りだして、
くるくる回りだしたのです。
そして、キラキラ光るものが目の前にポトリと落ちました。

空の星が落っこちてくるなんて、そんなことあるのかしら…。


hhhhh




ひとりぼっちのちびねずみの前に突然現れたねずみの女の子。

女の子が落とした大切なものを一緒に探してあげるのですが、
ちびねずみのぎこちない優しさが、可愛らしくて、
読みながら嬉しくて笑顔になりました。

ggggg





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[ 2019/04/07 00:00 ] お話「か行」 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

すきっぷ

Author:すきっぷ
安房直子さん作品に恋した「すきっぷ」です。

*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


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