童話作家 安房直子さんが遺した景色

安房直子さんの作品を紹介しています。
童話作家 安房直子さんが遺した景色 TOP  >  2013年12月

えんとつが無くたって大丈夫!『サンタクロースの星』


『サンタクロースの星』


☆あらすじ☆

サンタのおじいさん
 ぼくのいえには、えんとつがひとつもないんです。
 それでもクリスマスには、ぼくのところに
 ちゃんときてくれますか?


えんとつが無い家の子供たちも心配しなくて大丈夫。
えんとつがなくたってサンタクロースは
ちっとも困らないんですから。


サンタクロースは家の鍵を開けられる秘密の魔法を持っているのです。

しろくまから借りた青い光の流れ星。

どんな小さな鍵穴にも入って呪文を唱えると簡単に鍵が開いてしまう不思議な星。

でも、これは子供たちにクリスマスのプレゼントを届けに行く時だけの
特別な秘密の魔法。


クリスマスが終わるとちゃんと星をしろくまに返します。


santa.jpg



偶然にもこの時期のタイミングで出会ったのが嬉しくて、
じっくり読んでみたいな~と思ったので、
地元に帰ってから図書館に行って借りてきました。

西東京市中央図書館に行ったとき知った物語です。

絵(新野めぐみさん)はふんわり柔らかな感じがします。

華やかで明るいクリスマスのイメージというよりも、
優しくて暖かくなるような雰囲気の絵とストーリーです。

安房さんがお子さんを持たれてからの作品のようなので、
ご自身のお子さんに思いを巡らせながら書いたのかもしれません。

そう思うと余計に暖かい思いがこみ上げてきました。




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[ 2013/12/23 00:00 ] お話「さ行」 | TB(-) | CM(0)

安房直子さんゆかりの場所に行ってきました。


西東京市中央図書館 


童話作家安房直子さんが生前暮らしていたのが東京の保谷(ほうや)市。

現在の西東京市です。

安房さんは当時の下保谷図書館を利用されることもあったそうで、
いつかは行ってみたいと思っていました。

折しも市内の中央図書館で10月に
『没後二十年、児童文学作家・安房直子さんを偲んで』という
安房さんの作品等を展示した催しがありました。

行きたいなと思ってはいたものの、
展示期間中には行くことは出来なかったのですが、
やっと行ってきました。

初めての西武新宿線。

高田馬場駅から電車に揺られて30分程(急行ならもっと速~い)、
15駅目の田無駅南口から私の足で5分もかからないくらいのところに、
西東京市中央図書館はありました。

展示されていたものはもう見ることは出来ないだろうと思ってはいましたが、
何か見られるものがあればと思い職員の方に訪ねてみました。

展示に使用していたのは市内にある他の図書館から集めたものが多く、
もう元の図書館に返しているとのことでした。

もう催しから2ヶ月近くも経っているから仕方ないと諦めかけたのですが、
お忙しい中親切に対応して下さった職員の方が
中央図書館で保管されていた作品を拝見させて下さいました。

その方は催しの展示にも携わっていたそうなのです。

西東京市中央図書館 安房作品①.jpg

西東京市中央図書館 安房作品②.jpg


安房さんとはもうお会いすることは叶わないけれど、
これからは遺して下さったたくさんの物語に出会うことが出来ると思うと
幸せな想いで図書館をあとにすることができました。

突然お邪魔したにもかかわらず、
親切に対応して下さった職員のYさんはじめ職員の皆さん、
本当にありがとうございました。

西東京市中央図書館 正面入口①.jpg
図書館正面



[ 2013/12/22 00:00 ] 安房直子さんの足跡 | TB(-) | CM(0)

本当に大切な存在に思いを馳せたくなる『グラタンおばあさんとまほうのアヒル』


『グラタンおばあさんとまほうのアヒル』


☆あらすじ☆

小さなレンガの家に一人暮らしのおばあさんがいました。

おばあさんはグラタンが好きでいつもグラタンを作っています。

その時使うグラタン皿には黄色いアヒルが描かれていて、
この黄色いアヒルは話ができたり、おまけに魔法も使えて
自分がしているエプロンのポケットから
グラタンの食材を出してあげたりもします。


でも、おばあさんがアヒルに頼ってばかりで
自分で買い物に行かなくなってしまった時、
怒ったアヒルはグラタン皿から出て
おばあさんの家からとび出して行ってしまうのです。

アヒルは新しい居場所を探して、
若い奥さんの家のやかんに入ってみたり、
小さな男の子のシャツに入ってみたりします。

でも…どこも安心して長くいられる場所にはならなかったのです。


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本当に大切な存在に気づくとき

特にこの数年、「感謝」とか「誰かを思いやる気持ち」というのに
気づくようになってから、自分の中でクリスマス時期に思い出す作品となっています。

祈り.jpg

あまりに近すぎていつもそばにいてくれている存在が
どれだけ大切な存在だったか。

離れてみないと分からないって事があります。

損得無しに思ってくれるから、厳しい事も言うけど、
でも良いところも悪いところも受け入れてくれる存在って
本当に大切な有難い存在なんだなと、改めて感じさせてくれる物語です。




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[ 2013/12/15 00:00 ] お話「か行」 | TB(-) | CM(0)

懐かしさと切なさを感じさせるお話『さんしょっ子』


『さんしょっ子』



☆あらすじ☆

さんしょっ子はサンショウの木の中に住んでいました。

身なりは粗末な緑の着物と裸足でボサボサの髪の毛ですが、
なかなか可愛い女の子です。


畑の真ん中に生えているサンショウの木の下では、
いつも子どもたちがままごとやお手玉をしたりして遊んでいました。


さんしょっ子もお手玉が好きでした。
お百姓の娘、すずながお手玉をする時にはいつも木の上から見ていました。
そして、ずずなに気づかれないようにお手玉を一つずつくすねては、
秘密の場所に大事に隠しておきました。


月日は流れ、小さかった子どもたちもいつしか成長し大人になりました。

そして、さんしょっ子もすっかり大人になり、変化が訪れます。
でも、そのことにさんしょっ子はまだ気づいていないのです。


sanshow.jpg




母のお手製お手玉

もう12月も半ば、年の瀬を感じる時期になってきましたね。

今日、探し物をしていた時に懐かしいものを見つけました。

私がまだ小学低学年の頃に母が作ってくれたお手玉です。

お手玉①.jpg

お手玉の中身は私が学校帰りに摘んできたジュズダマの実です。

ジュズダマの実を母に見せるとハギレを持ってきて、
あっという間に2つのお手玉を作ってくれました。

『さんしょっ子』に出てくるお手玉の中身はあずきでした。
そういえば、物語には昔母から聞いた時代背景や遊びが出てきます。

まだ着物の生活、お手玉やままごと、
茶店のお団子は母がよく作ってくれたよもぎの草餅を思い出させます。

自分が知らないはずの時代なのにとても懐かしい思いがしました。

また、成長するにつれて経験する戸惑いや切なさが描かれていて、
自分の子どもの頃の事を思い出しながらも読めた物語でした。

さんしょっ子が風になってしまってからラストまでのくだりは、
安房さんの想いがにじみ出ている優しい終わり方だなと思いました。



母への思い

ここでもう少し、母のことを。

私の子どもの頃の思い出の中に欠かせない人は、
なんといっても母です。

母は手先が器用で、和裁洋裁や編み物が得意でした。

春はワンピース、夏は浴衣、冬はセーターと、
家族のものをよく作ってくれました。

いつも何かしら作っていたという記憶があります。

いつも一緒にいた私は、母が縫い物や編み物をしているのを
見ているのが好きでした。

一枚の布からワンピースやスカートが出来たり、
一本の毛糸からセーターやベストが出来たりするのが
不思議で面白くてずっと見ていても飽きないほどでした。

でも、母の器用さは私には受け継がれなかったみたいです(笑)

姉はしっかり手先の器用さを受け継いだんですけどね…。

それから、『さんしょっ子』の中で茶店のおかみさんが
団子を作る場面があるのですが、
母がよく作ってくれたヨモギの草餅を思い出しました。

母と一緒に土手に生えているヨモギを摘んできては、
それで草餅を作ってくれました。

よもぎ.jpg

今は農薬などが散布されている危険もありますから、
むやみに土手や道端に生えているものを熱処理しているとは言え
口にするのはためらってしまいますが、
私の子供の頃は、他の家でも当たり前にしていた事だったと思います。

”あの頃は良かった”とは一概に言えないですが、
あまりに当たり前にそこに有ったために、
失ってしまってからその大切さに気づいた事が
たくさんあるような気がしています。

私にとってその最たるものは母の存在だったと今更ながら感じています。




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[ 2013/12/14 00:00 ] お話「さ行」 | TB(-) | CM(0)

涙を知った魔物のお話『小さいやさしい右手』


『小さいやさしい右手』


☆あらすじ☆

森の中にある大きなかしわの木に子どもの魔物が住んでいました。

ほんの子どもなので知っている魔法はひとつだけ。

おまじないをして右手をひらくと、
片手に持てるものなら何でも出すことができるのです。


そして、知り合った女の子のために魔法を使うのですが、
あることがきっかけで魔物は女の子に憎しみの気持ちを持つようになってしまいます。

最初は、裏切られたという驚き、それから悲しみに変わり、
だんだんと真っ黒いいじわるな心が湧き上がってきました。


そして、しかえしをしてやろうと思い立ったのです。


柏(かしわ).jpg



憎しみのたね

”安房さんはどんな思いでこれをかいたんだろうか”

”しかえしって、魔物に何をさせるつもりなんだろう”

そう思うと気持ちが締め付けられそうに苦しくなりました。

憎しみの種はいとも簡単に大きく育ってしまうものだと思います。

相手を信じていれば尚更、裏切られたという思いは
自分では止められないくらい大きくなって、
本当のことさえも見失ってしまうのかもしれません。



「許す」ということの辛さ

魔物は女の子にしかえしをしてやろうと会いにいきます。

もう20年の時が流れていました。

そして、かつての女の子に会ったとき、自分の過ちに気づいてしまいます。

しかえしの相手は女の子ではなかったのです。

自分のために泣いてくれている人の優しさに触れ、
魔物は初めて涙というものを知ります。

今まで泣くことを知らなかった魔物は、
裏切られたと思った時、悲しくても涙をこぼしませんでした。

そして、かつての女の子は、まだ子どものままの魔物に
「憎しみ」を「許し」に変えるようにと語りかけます。

泣くことを知らなかった魔物が
「許す」という言葉を知り涙を流す場面は、
読んでいて涙が止まりませんでした。

魔物の涙には「許す」ことの辛さがあったのかもしれません。

”こんな時、私は許すことができるだろうか”

何度も読み返すたびに自問する場面ですが、
今の私には、まだまだ難しいなと思うところです。

それでも、辛さを乗り越えていく魔物の姿に
救われる思いがしました。



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[ 2013/12/08 00:00 ] お話「た行」 | TB(-) | CM(0)

寒い季節に食べたくなる料理


寒くなったらシチュー


すっかり木々の葉は色づき寒い季節が始まりました。

あなたは寒い季節は好きですか?

私はとても苦手なんです。

苦手というよりも大っ嫌いと言ったほうが良いかも(笑)

寒い時期だけ暖かい土地に引越したいくらい、
寒さ、特に凍てつくような寒さはダメなのです。

とは言っても、この時期は温かい食べ物が美味しい季節でもありますよね。

おでんやお鍋、煮込み料理で体を温めるのが至福の時です。

お鍋.jpg


体が暖まるのと同時に心までポカポカ暖かくなるような気がします。

特に私が冬の煮込み料理だなと思うのが「シチュー」です。

同じような材料を使った「カレー」は暑い夏の日でも食べたくなるのに、
「シチュー」は夏は食べたいと思わないどころか、
多分、存在すらも忘れかけているかもしれません。

風がひんやり吹く頃になると、「今夜はシチューにしようかな」
なんて急に思い出すのです。

昔、母が作ってくれたシチューはじゃがいもや人参、豚肉、
そしてキノコがたっぷり入った具だくさんのホワイトシチューでした。

今でも懐かしく思い出す母の料理の一つです。

その頃は寒い季節じゃなくてもシチューが食卓にあがっていたけれど、
私には冬になると思い出す料理になりました。

最近になって、あの熱々で、そして優しい味を幸せに感じられるのは、
厳しい冬があるからこそなのかもしれないと思えるようになりました。


安房直子さんの作品にもシチューが出てくる
『空色のゆりいす』というお話があります。

その物語はこんな一文で始まっています。

”じゃがいもと牛乳が、とてもおいしい、北の町の話です。”



関連記事:目の見えない女の子が心で見た優しい色彩『空色のゆりいす』



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[ 2013/12/01 00:00 ] 作品の魅力 | TB(-) | CM(0)
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すきっぷ

Author:すきっぷ
安房直子さん作品に恋した「すきっぷ」です。


*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


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