童話作家 安房直子さんが遺した景色

安房直子さんの作品を紹介しています。
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不思議な砂場と海の猫『ふしぎなシャベル』


ふしぎなシャベル


☆あらすじ☆

ベンチで編み物をしていたおばあさんは公園の砂場で
置き忘れられているシャベルを見つけました。

銀色で柄には波の模様がついています。

「まあ、こんな綺麗なシャベルは見たことがないわ。
生きのいいお魚みたいじゃないの。」

シャベルを拾い上げて、砂場の砂をすくってみました。
すくった砂はさらさらととてもいい感じにシャベルからこぼれます。

おばあさんは嬉しくなって、せっせと穴を掘り始めました。
夢中でどんどん深く掘っていくと砂場の砂はだんだんしっとりと濡れてきて、
その濡れた砂には白い貝がらが混じっています。
そして、掘った穴からこぽこぽと水が湧いてきました。

湧き出た水は砂場に溢れ、気がつくとおばあさんは海にいたのです。

公園のベンチもぶらんこも、ポプラの木もありません。
見渡す限りの砂浜と青い海。
おばあさんは波打ち際の砂をせっせと掘っていたのです。



nenenekkkkkk



海でおばあさんは一匹のと出会います。
麦わら帽子をかぶったそのは、なんと魚をとる網を編んでいるのです。

それでおばあさんに「あんたも手伝ってくださいよ」なんて言うのです。

これ、おばあさんが編み物出来ること知っていて言ってるんでしょうね。
それとも、編むのを手伝わせるためにわざとおばあさんを連れてきたのかも。

読んでいて「私には無理だわ」って声に出してしまいました。
ちぐはぐな網目を見て呆れるが想像できます。


潮風が気持ちいい海、そして、とれたての生きのいい魚。

柄に波の模様がついた銀色のシャベルが連れて行ってくれた
不思議な海辺のの町。

おばあさんとのやりとりが面白くて、楽しく読み終えたお話でした。







[ 2020/05/06 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

おじいさんと少女の安らぎの場所『花の家』


花の家


☆あらすじ☆

ある大きな町の真ん中に、大きなお屋敷がありました。
お屋敷の周りには、一巡りするのに十五分もかかるほどの長い塀、
塀の中には木立ちがうっそうと生い茂っていました。

厳しい鉄の扉をくぐり、どこまでも続く白い飛び石の突き当りに、
やっと家の灯りが見えるのです。
その家には、もうすぐ百歳に手が届きそうなおじいさんと、
やっと十六歳になったばかりのお手伝いの少女が住んでいました。

あんまり長生きしたせいでおじいさんの家族は先に亡くなってしまい、
身寄りはこの世に一人もいないというのがおじいさんの口癖でした。

少女は大変な働き者でおじいさんの世話はもちろん、
広い家の掃除から庭の手入れまで一人でしました。

庭にはたくさんの木とがありました。
ある日のこと、おじいさんはこんな事を言いました。

「私はこの庭に黄金をどっさり埋めておいたよ。
…私が死んだらそれをみんな、あんたにあげよう」



sususuiiiii




裕福でも…裕福だからこそ、人の嫌な部分を色々見てきたであろうおじいさんと、
身寄りがなく孤独に耐えてきたことが垣間見える少女

二人の楽しみは、縁側に座ってたちや庭にやってくる蝶を眺めること。
時間が止まって、どこか例えようもなく美しい別の世界にこもっているような
そんな気分になるのです。

穏やかな日々でしたが、二人に別れのときがやってきました。
おじいさんが残してくれたもの、それはお金に代えがたいものでした。

少女は黄金を見つけたとき、喜びでいっぱいになりました。
懐かしい両親にやっと出会えたような思いに満たされました。

ずっと一緒に、庭の木やを大切にしてきたからこそ、
たった一人、生きていかなくてはならない少女に必要なものが、
おじいさんには分かっていたのでしょう。







[ 2020/04/30 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

カエルの発電所『秘密の発電所』


秘密の発電所


☆あらすじ☆

この間、急ぎの仕立物を届けた帰りでのこと、
日が暮れた峠の道で帰り道が分からなくなりました。

すると、いきなりあたりの百合が光りだしたのです。
はじめはついたり消えたりしながら、いつしか白く眩しくなりました。
まるで、お祭りの晩みたいです。

これはきっと、きつねのいたずらに違いないと思いました。
気味が悪いので、前を向いてさっさ、さっさと歩いていきました。

「もしもし、おばさん」

草の中から壊れたラッパがいきなり鳴るような感じで誰かに呼ばれたので、
飛び上がるほど驚いて、すっかり気味が悪くなりました。

私は口をぎゅっと結んで知らんふりして歩いていきました。

「おばさん、ちょっと待ってください。」

私が駆け出そうとしますと、その声ははっきりとこう言いました。

「せっかく電気をつけて道を照らしてあげたのに、
こっちの話も聞かないで、あんたは薄情者ですねえ。」

そこまで言われて知らんふりも出来ません。
私が足を止めると、そこに飛び出してきたのは一匹の大きなカエルでした。



ririyuyu




カエルが自分で作った自慢の発電装置を説明している場面が
自信たっぷりで面白いのです。
こんな立派な装置を作ったら自慢げに言いたくなる気持ちも分かります。

百合の花に灯りをともすためにマヤカシではなくて
水車を作って水力発電で灯りをともしている。

安房さんの作品に出てくる人間以外の生き物の多くは
人間以上に堅実でコツコツと健気に生活しているような気がします。

だから変に人間を嫌うこともなく、対等な言葉遣いと意見を持って
人間に歩み寄っているように思います。





[ 2020/04/25 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

おはじき三つと、あなたの心『星のおはじき』


星のおはじき


☆あらすじ☆

あの朝、あやちゃんが学校に持ってきたたくさんのおはじきを机の上に出すと、
女の子たちが集まってきて、おはじきに触ったり手のひらに乗せたりしていました。

私も、みんなの真似をしておはじきに触ろうとすると、
あやちゃんはいきなり、「さわらないで!」と言いました。
そして、顔をしかめて、とても嫌そうに、
「あなたが触ると、汚れるわ」と言いました。

私は心の中が、すうっと青くなるような気がしました。
指先が、凍ってゆくような気がしました。

その次の国語の時間は、先生の声が全然耳に入りませんでした。
給食も、美味しくありませんでした。

昼休みに図書室から教室へ戻ると誰もいませんでした。
私も校庭へ出ようと思ったとき、あやちゃんの机の上に置き忘れられた
赤い袋を見つけたのです。


jikijikiii




家の窓から大きなの木が見える川のほとりの古い家に
おばあちゃんと二人で暮らしている女の子
目が悪いおばあちゃんは、女の子が幼いとき身だしなみを
きちんとしてくれることが出来ませんでした。
服が汚れていたり、髪が乱れていたことで悪口を言われるようになりました。

今では自分の身の回りのことはきちんと出来るようになりましたが、
それでもまだ友達は汚い汚いと言っているのです。

悪口には負けない、いつも明るく生きていたいと思う女の子ですが、
それはずいぶん難しいことだとも思うのです。

文中に何度か、「難しい」という言葉が出てきます。
「出来ない」というよりも「難しい」ということで、女の子の辛さや葛藤が
強く現れているように感じました。

「幸せな人は他人に意地悪をしない」なんてことを聞いたことがありますが、
そのとおりだと思う反面、自分はどうだろうかと思って苦しくなるときがあります。

自分より劣っている人や貧しい人を見て安心する気持ちが少なからずあるからです。

なんと説明したらいいのか、うまく言葉にできないのですが、
私にとってとても心に突き刺さる作品です。

yyyyyyyyy







[ 2020/04/24 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

花吹雪の午後、お出掛けください。『花びらづくし』


『山の童話 風のローラースケート』より
『花びらづくし』


☆あらすじ☆

あれは、去年の四月…、ちょうど桜がちらほら咲き始めた頃に
さくら屋からの招待状が来ました。

招待状は、薄桃色の和紙のはがきで、文字は墨でこう書かれていました。

「さくら屋にご招待します。花ふぶきの午後、おでかけください。
お金は、百円お持ちください。ぜんぶ、五円玉で、お願いいたします」

私は嬉しくて嬉しくて、そのはがきを抱いてしまいました。

それからというもの、何をしていても上の空、茶店の仕事も失敗続きで、
もう仕事になりませんでした。

そして、とうとう花吹雪の頃になりました。


sssffff



自粛要請の今年のお花見。
それでも、桜は今年も変わらず、綺麗な花を魅せてくれています。

思えば、私のお花見はいつも運転しながら眺めるばかりなので、
今年も例年どおりの「車中からの桜」を楽しみました。

今年は桜が咲いている期間がいつもより長く感じました。
開花し始めて満開になり、あっという間に散ってしまうのかと思いきや
先週の季節外れの雪にも耐えて、徐々に散り始めているという感じがします。

昨日は暖かくて爽やかな風が吹いていました。
車の窓を開けて運転していたら、桜並木でみごとな桜吹雪に遭遇。
花ふぶきの中に車が吸い込まれそうな感覚になりました。

そして、車の中にも桜の花びらが舞い込んできました。
花びらを手にとって眺めていると、なんだかやっぱり今年は特別な桜のような、
今年も桜が見られて良かったな…なんて思ってしまいます。

頑張って枝にしがみついて魅せてくれていた桜、もう葉桜の季節です。






[ 2020/04/05 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

亀に魅入られた娘『日暮れの海のものがたり』


『日暮れの海のものがたり』


☆あらすじ☆

海のほとりの小さな村に縫い物の上手な娘がいました。
仕立て物をしている、いとばあさんと暮らしているさえと言う娘が
どこの生まれで歳はいくつなのか、知っている者は誰もいません。

何年も前の夏の夕暮れ、いとばあさんのところにやってきた娘は、
追われているのでかくまってほしいと頼んだのです。

さえはこの村にたどり着く前に、大きな海亀との約束を破って
逃げてきたのでした。

病気で死ぬのを待つしかない好きな人を助けたいがために
亀の甲羅一枚と引き換えにその亀と結婚するという約束を
してしまったのです。

しかし、好きな人には結婚を約束している娘がいたのでした。
病気が治ったら一緒にどこかに逃げようと思っていたさえの淡い考えは
もろくも崩れ去ってしまったのです。

それからというもの夕暮れになると、さえの家の窓の下に海亀がやってきては
「約束忘れちゃいけないよ」と低い声でつぶやくのでした。



kikito




追いかけられている娘の気持ちを思うと、どれほどの恐怖だったろうと思う反面、
裏切られた亀の哀しさに胸が苦しくなる思いがしました。
想う人を助けたい一心ではじめから守るつもりもない約束をしたけれど、
結局好きな人と添い遂げることが出来なかった娘。

因果報応、当然の報い、そんな言葉が頭をよぎるのですが、
それは娘にも自分のした仕打ちに気づいていることでしょう。
それでも、亀と結婚という気持ちにはなれなかったのです。

いとばあさんと出会えて、娘は少し救われたかもしれないけれど、
最後まで娘と亀の哀しさや辛さが重苦しく残ったままで、
なんとも言いようのない気持ちになった物語でした。







[ 2019/11/03 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

貧乏絵かきと不思議な窓のお話『春の窓』


『春の窓』

☆あらすじ☆

小さな町に売れない絵かきがいました。
部屋のストーブの燃料も買えないほど貧乏なのです。
ある日のこと、寒さを凌ぐために毛布にくるまっていますと
誰かがドアをたたきました。
出てみると、そこには一匹のまだらの猫が立っていました。

猫を飼うとお金をかけなくても暖かくなると言う猫の提案で
絵かきはこのまだらの猫を飼うことにしました。
寝るときは猫をだいて、絵を描くときには襟巻きがわりにしたり。

それでもやっぱり窓のない北向きの部屋は寒いのです。

「南側の壁に窓を描いてください。」

壁に描いた窓の絵を魔法で本物にすると言う猫に戸惑いながらも、
夢や希望が入ってくるような窓を思い浮かべ絵かきの心は動きました。

幾日か過ぎ、南の壁に大きな窓の絵が出来上がりました。
一面広がる春の草原と、その向こうを小さな電車が走っている絵です。
そこに白いカーテンをかけると猫は長い呪文を唱えました。

そして、カーテンを開けるとそこには本物の草原が広がっていたのでした。


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壁に描いた窓が本当の窓になって描いた通りの景色が広がっている。
こんな窓があったら本当に素敵だなと思いました。
私は窓から外の景色を眺めるのが大好きです。
一番好きな場所はよく利用する図書館。
図書館って外光が入らないような造りのイメージなのですが、
そこは大きな窓があって窓の方に向いて椅子が並べてあるのです。

図書館の二階から見えるのは目の前の駅のホームと家並みと畑、
あとは遠くまで続く空が見えるだけのような景色なので、
天気のいい日はその窓向きの椅子に座って空を眺めているのが
幸せを感じるひとときなのです。

物語の文中にもありますが、本当に窓っていいものです。

そして、絵かきさんのところにきた不思議な猫。
こういうお話を読むと、言葉を話す動物に会ってみたくなったりします。
言葉を話せる人間には上手く気持ちを伝えられないくせに、
言葉が話せる犬や猫になら伝えられそうな気がして。
でも実際には動物が苦手なので…矛盾してますね。

この物語の猫は、ちょっと図々しくて、口が上手くて、しっかりもの、
上から目線のちょっと苦手なタイプだったんですけれど、
うだつの上がらない絵かきさんには丁度いい相棒だったのかも。
私もうじうじして誰かに背中を押してもらわないと動けないので
この位ハッキリしてる相手の方がいいのかもしれません。

それにこの猫、絵かきさんのために「最後の魔法」を使ってくれるのですが、
それがなんだか切なくて、胸がちょっとぎゅっとなるような感じでした。

でも最後はタイトルのような爽やかなラストだったと思います。









[ 2017/05/06 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

くまの楽器屋さんと寒がりうさぎ『はるかぜのたいこ』


『はるかぜのたいこ』

☆あらすじ☆

一匹のうさぎがやってきました。

うさぎはセーターの上にオーバーを着て、
厚い靴下の上にブーツを履いていました。
おまけに手袋と襟巻き、マスクをしていました。

そして熊のお店の前に来たとき「はっくしょん」と
大きなくしゃみをしました。

気づいた熊はお店の中から大きな声をあげました。
「おや、誰かと思ったら寒がりうさぎさん」

あったかくなるいい方法を聞かれた楽器屋さんは
「そんならいい楽器がありますよ」と持ってきたのは大きなたいこ。

うさぎがチカラいっぱい、どーんとたいこを叩いて目をつぶると、
あたたかい風がふうっとかかってきました。


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春の風を連れてくるたいこ。
ひとつ、またひとつ叩くたびに春を感じられる。
あの何とも言えない振動に乗せて春風を連れてくるのでしょうか。

楽器なら、案外できるかもしれないなんて思ってしまう。

「音」って見えないのに不思議です。
楽しかったり、嬉しかったり、悲しみや怒りだったり、
いろんな表情が見えるみたいに感じるし、聴こえるのです。
錯覚なのかな、でも錯覚でもいいんです。

そういえば、春の音ってなんでしょうね。
山間部じゃないと雪解けのせせらぎの音なんて聞こえませんし、
木々の芽吹く音や、桜が舞う音…聞いてみたいですけど。

現実的なことを言うと、私はウグイスの声くらいしか思い浮かびません。
春先にちゃんと「ホーホケキョ」って鳴けない声が聞こえたりするの
けっこう好きです。
「がんばれっ」って心の中で言ってみたりして。









[ 2017/03/12 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

黒マントを着た黒猫が教えてくれた素敵なこと『ひぐれのお客』


『ひぐれのお客』

☆あらすじ☆

裏地やボタンを売っている小さなお店のお話。

ある冬の初めの日暮れ時、めずらしいお客様がやってきました。

真っ黒いマントを着た、緑の目をした真っ黒い猫。
猫のマントは上等のカシミヤです。
寒がりの猫はマントにつける裏地を探しにやってきたのです。

赤色の裏地を付けたいと言う猫に
店主の山中さんは裏地を選んであげるのですが…。


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赤と一口に言ってもきっと思い浮かべる色は人それぞれでしょう。

太陽の赤、炎の赤や、真紅のバラの赤や、郵便ポストの赤、
オレンジがかった赤、青みがかった赤や黒が混ざったような赤。

人工的に作られた赤と、自然の中の赤。

人ひとりひとりに個性があるように、
色にも優しい気持ちにさせてくれる色や、
慰めてくれたり、包み込んでくれたりする色、
寂しくなってしまったり、攻撃的だったりする色があって、
その時の気持ちで良くも悪くも惹かれるのだと思います。

それにしても、安房さんは色の表現がとても豊かです。
文字を目で追っているだけなのに色のついた情景を
思い浮かべることができます。
思いがけない素敵な景色を見せてくれるのです。




[ 2016/12/11 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

オレンジ色の自転車に乗った少女たち『花のにおう町』


『花のにおう町』

☆あらすじ☆

オレンジ色の自転車に気づいたのは秋の始めでした。

ハンドルもペダルも全てが黄色っぽいオレンジ色で
乗っているのは可愛らしい女の子。

そして、この自転車を見かけるときには決まって
この時期になるとどこからともなく漂ってくるあの甘い香りもするのです。

これは、なんのにおいだったかな…。

このにおいを吸い込むと胸の中に隠してあるバイオリンが
すすり泣くように鳴りだすのです。


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七年間、一度も咲かなかった花

2015年プロ野球のお話。

今年、14年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした東京ヤクルトスワローズ。
二年間、リーグ最下位という悔しさを味わったチーム。
今年から指揮官になった真中監督は選手時代からヤクルト一筋。
20年以上選手、指導者としてヤクルトスワローズと共に歩んできました。

現役を引退した2008年、自宅庭に一本の木を植えました。

それがキンモクセイの木。
それから七年間、一度も咲かなかった花が今年9月にやっと咲いたのだそうです。

いつ咲くのかも、もう咲かないのかも分からない。
それが今年、やっと咲いた。


こじつけかもしれないけれど14年ぶりに勝利を手にしたチームと
重ね合わせてしまいました。




[ 2015/10/10 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

菊酒つくりの小人家族とある夫婦のお話『ハンカチの上の花畑』


『ハンカチの上の花畑』

☆あらすじ☆

郵便屋さんが「きく屋」と言う酒倉に手紙を届けにきました。
以前は大きな造り酒屋でしたが、戦争でいくつもあった酒倉は焼け、
家族も店員もいなくなり潰れてしまったのです。
そんなたった一つ残った酒倉に手紙が届いたのです。

もう誰もいないと思われた酒倉にはおばあさんがいました。
息子からの便りを待ち焦がれていたというおばあさんは
手紙のお礼にとっておきのお酒をご馳走すると郵便屋さんを酒倉に招き入れました。

奥から持ってきた壺を大事そうにテーブルに置くと、
これがとっておきの菊酒だというのです。
「この世に二つとないお酒なんです。」
おばあさんは壺の横に白いレースのついたハンカチを広げて
こんな歌を歌いました。

♪出ておいで出ておいで 菊酒つくりの小人さん

すると壺の中から細い縄梯子がするすると出て来て、
小さな人たちが梯子から降りてきたのです。
それは菊酒の精でした。


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正直者の郵便屋さんはおばあさんから菊酒の壺を預かることになりました。
たった二つの約束事は守るようにと念を押されて。

郵便屋さんはこのあと様々な幸運を手にすることになるのです。
楽しい日々の中で秘密の約束はだんだんと破られていくようになり、
郵便屋さん夫婦の罪悪感も薄れていってしまうようでした。

nihonshu.jpg


この夫婦は欲に目がくらんで正常な判断が出来なかったのでしょうか。
それとも、この菊酒が本性を露呈させるきっかけだったのでしょうか。

これは誰にでも陥る可能性があることだと思いました。
いつの間にか「大事なこと」よりも「楽しいことや得すること」のほうに
心が奪われて誤っていくことに気づかないで過ごしているのかもしれません。




[ 2015/08/30 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

なんでも消してくれる消しゴム『ふしぎな文房具屋』


『ふしぎな文房具屋』

☆あらすじ☆

お客さんが三人でいっぱいになってしまう小さな文房具屋。
ここにはたくさんのかわった品物が置いてありました。

香料ではない本物の花の匂いのするえんぴつだとか、
虹からもらった絵の具、壁の向こう側が見える虫眼鏡、
かいたものが本物のように見えるクレヨンや、
蓋を開けると小鳥の声が聞こえてくる筆箱とか。

だからか、一部の子供や大人の間で有名なお店でした。

ある夕暮れ時のこと、店番のおじいさんがお店を閉めようとしていると
一人の少女がやってきました。
みぞれに濡れて寒そうで、そして悲しそうな様子です。

「なんでも消えるけしゴムください。」
そう言う少女におじいさんが黄色いけしゴムを取り出すと、
「私の心の悲しみも消える?」とたずねたのです。



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なんでも消してくれる消しゴム。

こんなのがあったら、毎日のようになにかしらの嫌な出来事を消して、
あっという間に一個使い切ってしまうような気がする。

そして、早々にまた文房具屋さんに消しゴムを買いに行ったら、
「もう使い切っちゃったの?」って、
おじいさんに呆れられるだろうことが容易に想像できる…。

はぁー、おじいさん嫌なことを跳ね返す、下敷きとか無いでしょうか?

あっ、全然使い方違うか…。




[ 2015/08/14 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

溢れ出たほたるの群れに見つけた別れた妹との思い出『ほたる』


『ほたる』

☆あらすじ☆

妹のかや子は東京のおばさんの家にもらわれて行きました。
「兄ちゃん、さいなら」
そう言って昨日の夕方、列車に乗って行ってしまったのです。

一晩たって、かや子のいないやりきれなさに気づいた一郎は
かや子が行ってしまった昨日と同じ夕方の駅のホームで
置き去りにされたトランクを見つけました。

その大きなトランクの上には小さな女の子がいたのです。
まるで、かや子を思わせるような女の子でした。
そして、女の子がトランクを開けるとたくさんの蛍が溢れ出したのです。


夕暮れ.jpg



ほたるの放つ光はなんだか私には物悲しく見えます。
一所懸命自分の存在を知らせるように光るけれど、
長くは続かなくて消えてしまう。
そして、また光って消えて…。

夕暮れ時の淋しさと、妹を失った淋しさ、
物悲しく儚げな情景が印象的な作品です。




[ 2015/07/19 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

動物たちがお客様の森の中のホテル『べにばらホテルのお客』


『べにばらホテルのお客』



☆あらすじ☆

作家になりたての「わたし」は新人賞を受賞してからというもの作品が書けなくなってしまいました。
しばらく環境を変えてみようと山小屋を借りているのです。
少し書き始めたのですがなかなか物語は進んでいきません。

そんな雨上がりのある日、森の中で一人の青年と出会うのです。

そして、青年が始めたホテルへと行くことになるのでした。


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個性豊かな動物たちと美味しそうな料理が色々と出てくる物語。
文字を目で追っていくだけで、素敵なシチュエーションや美味しそうな料理、
動物たちとのやり取りが楽しく想像出来ます。

物語の動物たちは人間よりもおしゃべりで生き生きとしています。
そして、人間よりもお料理上手だったりします。

作者の山に住む動物や植物に対しての優しい眼差しが感じられる作品です。


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[ 2015/02/08 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

いつかは必ず辿るときが…『ひめねずみとガラスのストーブ』


『ひめねずみとガラスのストーブ』


☆あらすじ☆

風の子なのにとっても寒がりなフーは、
ガラスが張り巡らされたストーブを買いました。

柔らかなみかん色の暖かさにいねむりをはじめると、
小さなひめねずみもやってきました。

一人ぼっちのフーとひめねずみは大切な友だちになったのです。

そんなある日、日の暮れない国から来たという女の子と出会うのですが…。


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子供のころの抑えきれない好奇心と無邪気な行動は
かけがえのない想い出ですね。

思いがけず時間はあっという間に過ぎ去って、
いつの間にか大人になっていく過程には
たくさんの楽しさや淋しさがあるのかもしれません。

優しくて暖かい空間に守られていた時を懐かしむ想いと、
大人になったとき心の奥のどこかに置き忘れてしまった感情を
思い起こさせるような物語だと思います。



成人の日

今日は3連休の最終日、そして成人の日ですね。

成人を迎えられた皆さん、おめでとうございます。

自分の成人式はもう随分前のことで忘れかけていますが(笑)

確かあの頃は1月15日が成人の日で、
その日一日だけ休みで次の日は仕事でした。

それからハッピーマンデーで一月の第二月曜日に変わったんですよね。

もうその頃には成人式の思い出も薄れてきて、
私にはただの連休でしかなくなってしまいました。

でも、今年の成人の日は色々思うことがあるのです。

来年、4人いる甥っ子の一番上の子が成人式を迎えます。

今では一年に一度会えるかどうかという状況なのですが、
今よりは頻繁に会えていた幼い頃の印象が強いため、
あんなに小さかった子がもう成人するのかと思うと
感慨深い思いにかられます。

大人になるまでのこれからの日々を大切に、
そして、思い切り楽しんで欲しいと願わずにはいられません。

自分のときはどうだったかと振り返ってみると、
早く大人になりたかったですね。

自分でお金を稼いで好きに使いたかった。

親に頼らずに生活していきたいと思ったし、
成人して大人になることが自由になることだと思っていました。

なんだか尾崎豊さんの歌みたいですけど。

でも、成人してからの事を振り返ると、
自分の思うようになることばかりじゃなくて、
むしろ大人のほうが不自由だったり、
大人=自由じゃないぞと思うことが多くて、
未だに大人になるってホントのところどういうことか分からずに
迷うことだらけだな~と思ったりしています。

いつかは必ず通る道なのだから、
今を存分に楽しんで欲しいと、
ゆっくり大人になればいいんだよという思いです。



[ 2014/01/13 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

ある寒い日、不思議な石けりの輪を見つけたら…『初雪のふる日』


『初雪のふる日』


☆あらすじ☆

ある秋のおわりの寒い日、
どこまでも続く石蹴りの輪を見つけた女の子。

輪の中に飛び込んで石蹴りを始めると、
いつしか雪が降り始めました。

もう随分遠くまできてしまったようです。

雪も激しくなってきたので、
「もう帰ろうかな。」とつぶやいたとき、
たくさんの白うさぎが石蹴りをしながら
うしろから続いて来ていることに気づくのです。

そして、女の子は初雪のふる日にやってくる
白いうさぎの群れに巻き込まれてしまったのです。


雪うさぎ.jpg



明けましておめでとうございます。

もうすっかり寒い冬ですね。

皆さんの地域はもう雪は降りましたか?

私の住む地域はこの年末年始とても良い天気でした。

今日も風は冷たいのにきれいな青空です。

今シーズン、私の住む地域はまだ雪が降っていないんです。

年末に雪やみぞれの予報が出たことはあったのですが、
ただの雨に終わりまして、それっきりです。

雪が降ると通勤の心配で頭がいっぱいになってしまう私にとっては
雪が降らないのは嬉しいことこの上ないのですが、
やっぱりこの時期には子供の頃の雪遊びを思い出してしまいます。

私が子供の頃はもう冬休み前には積もるほどの雪が降って、
寒くても楽しくてずっと外で雪だるまを作ったりしていました。

雪だるま.jpg

いつだったか、まだ小学校に上がる前、
家の庭で一人雪で遊んでいた事がありました。

何をしていたのか…やっぱり雪だるまでも作っていたのかな…

長い時間外にいるので母やきょうだいが心配して、
家に入るように言いに来てもいうことを聞かずにずっと一人で外で遊んでいました。

次の日、朝起きようとしたら頭が重くて起き上がれない。

私は高熱を出して風邪をひいてしまったんです(笑)

思い出したら、笑ってしまいました。

私は子供の頃から頑固だったなって。

変なところで頑固だから、親きょうだいの話を聞かずに失敗してきて、
あ~子供の頃から変わんないなって、自分のことながら笑ってしまいました。



[ 2014/01/04 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

すきっぷ

Author:すきっぷ
安房直子さん作品に恋した「すきっぷ」です。


*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


はじめに



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