童話作家 安房直子さんが遺した景色

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おじいさんと少女の安らぎの場所『花の家』


花の家


☆あらすじ☆

ある大きな町の真ん中に、大きなお屋敷がありました。
お屋敷の周りには、一巡りするのに十五分もかかるほどの長い塀、
塀の中には木立ちがうっそうと生い茂っていました。

厳しい鉄の扉をくぐり、どこまでも続く白い飛び石の突き当りに、
やっと家の灯りが見えるのです。
その家には、もうすぐ百歳に手が届きそうなおじいさんと、
やっと十六歳になったばかりのお手伝いの少女が住んでいました。

あんまり長生きしたせいでおじいさんの家族は先に亡くなってしまい、
身寄りはこの世に一人もいないというのがおじいさんの口癖でした。

少女は大変な働き者でおじいさんの世話はもちろん、
広い家の掃除から庭の手入れまで一人でしました。

庭にはたくさんの木とがありました。
ある日のこと、おじいさんはこんな事を言いました。

「私はこの庭に黄金をどっさり埋めておいたよ。
…私が死んだらそれをみんな、あんたにあげよう」



sususuiiiii




裕福でも…裕福だからこそ、人の嫌な部分を色々見てきたであろうおじいさんと、
身寄りがなく孤独に耐えてきたことが垣間見える少女

二人の楽しみは、縁側に座ってたちや庭にやってくる蝶を眺めること。
時間が止まって、どこか例えようもなく美しい別の世界にこもっているような
そんな気分になるのです。

穏やかな日々でしたが、二人に別れのときがやってきました。
おじいさんが残してくれたもの、それはお金に代えがたいものでした。

少女は黄金を見つけたとき、喜びでいっぱいになりました。
懐かしい両親にやっと出会えたような思いに満たされました。

ずっと一緒に、庭の木やを大切にしてきたからこそ、
たった一人、生きていかなくてはならない少女に必要なものが、
おじいさんには分かっていたのでしょう。







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[ 2020/04/30 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

青と緑璃

Author:青と緑璃
安房直子さん作品に恋した「すきっぷ」改め「青と緑璃」です。


*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


はじめに



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