童話作家 安房直子さんが遺した景色

安房直子さんの作品を紹介しています。
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まさかの結婚式に招待されました。『猫の結婚式』


『猫の結婚式』


☆あらすじ☆


ある日、僕の家に出入りしていた野良猫のギンが結婚すると言って
招待状を持ってきました。

家で飼っている綺麗な白猫のチイ子とは比べものにならないほど
下品で汚くて傷だらけの野良猫です。
小さい頃から、たまにチイ子の牛乳をあげたりしていました。

「たった一人の人間として、僕の門出を祝福してやってください」
と言うギンに、僕は「わかったよ。」と答えました。

結婚式の日は、どしゃぶりの雨でした。

僕は最近元気のないチイ子に「ちょっと出かけてくる」と言い外に出ました。

激しい雨の中歩いていると、あとからあとからレインハットをかぶった猫たちが
追い抜いていきます。

案内されて駐車場の地下へ続く階段を降り、宴会場へ行くと
テーブルにぎっしりと猫たちが仰々しく座っていました。

案内された席が末席じゃないかと思った時、新郎新婦が入場してきました。



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たぶん軽い気持ちで出席した僕に、まさに青天の霹靂とも言うべき事態が発生。

まさか、まさかの結婚式。

でも、「僕」にこれまで良くしてもらったこと、とても感謝していると思うのです。
「お父さん」のように思っているから末席にしたのでしょう。

そして、二十日ほど過ぎて届いたハガキ。
それは僕を思っての言葉だと思うのだけれど、
これでまた落ち込んでる姿を想像すると、ちょっと笑ってしまいました。






今日は父の日
cccccc






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[ 2019/06/16 00:00 ] お話「な行」 | TB(-) | CM(0)

気の良い大工さんと不思議なベランダ『だれにも見えないベランダ』


『だれにも見えないベランダ』


☆あらすじ☆

ある町にとても気の良い若い大工さんがいました。
どんな仕事でも頼まれたら気軽に引き受けます。

立派な腕を持っていましたが、たいへんなお人好しでしたから、
いつも報酬の無い仕事ばかりに追われていました。
そして、いつも貧乏でした。

ある晩のこと、大工さんの部屋に一匹の野良猫がやってきました。

そして、「ベランダをひとつ、作って欲しいんです」と。

それは、お世話になっている娘さんに素敵なベランダを作ってあげたいという
特別なお願い事なのです。

翌朝になると、すずめや鳩までもが「ベランダをつくってくれますね」と
言ってくるのです。

そして、大工さんは仕事を引き受けることにしました。

出来上がったベランダを空色のペンキで塗って、猫がおまじないをかけると
外からは影も形もなく、内側からしか見えないベランダになりました。


それから、何ヶ月か過ぎた頃、大工さんのところに小包が届きました。

中には香りの良い緑の野菜がどっさり入っていたのです。

そして、こんなカードが添えてありました。

”ベランダでとれた野菜です。
ベランダをつくっていただいたお礼です”



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娘さんから送られてきた緑の野菜。
レタスやセロリや芽キャベツ、つまみ菜にパセリにカリフラワー。
ベランダでこれほどの野菜をつくれるなんて驚きです。

娘さんの手入れが良いのか、それとも魔法のベランダだからなのか。
本当に素敵なベランダで羨ましいです。

私は植物を育てるのが下手で、自分でも驚くくらいあっという間に
なんでも枯らしてしまいます。

鉢植えの花や観葉植物、プランターに植えたプチトマトも
気がつけば全く成長が止まってしまって、そして枯れていきました。

ベランダで出来た野菜でサラダを作るなんて、憧れてしまいます。


paaa






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[ 2019/05/04 00:00 ] お話「た行」 | TB(-) | CM(0)

子猫を捨ててきなさいと、さっきお母さんが言ったのです。『やさしいたんぽぽ』


『やさしいたんぽぽ』


☆あらすじ☆

誰もいない日が暮れた春の野原に、女の子が立っていました。
女の子はエプロンの中に白い子猫を隠していました。

子猫は静かに眠っています。
さっき、お母さんがこの子猫を捨ててきなさいと言ったのです。
「眠っているうちに、さあ、早く早く」と。

捨てられた子猫は、そのあとどうなるでしょう。
真っ暗闇の中、目を覚ました子猫が鳴いても誰もいなくて…。
考えただけでも恐ろしいことです。

女の子は泣きながらつぶやきました。
「助けて、助けて、誰か助けて…」

すると、女の子の足元がピカッと光ったのです。
まるで黄色い豆電球が灯ったように。
そして、黄色い灯りはあっちにもこっちにも広がっていきました。

それは、特別な夜だけに光るたんぽぽだったのです。


tanpopo.jpg




きっとこの猫は元々捨て猫だったのでしょう。
たぶん、生まれて間もない小さな命。
それを見つけた女の子は可哀想になって家に連れ帰ったのでしょう。

もし、この子の家で猫か犬、動物を飼っていたなら迎え入れられることも
容易だったかもしれません。
でも、動物を飼っていなければ、いきなり連れてこられても、
飼うことを躊躇してしまうお母さんの気持ちも分かる気がします。
きっとお母さんも女の子を悲しませたいわけでは無かったはず。

優しいたんぽぽたちに出会ったおかげで子猫は安らげる場所へ
旅立つことができました。

ホッとした気持ちと、本当にこんな場所があったら良いのにと、
思わずにはいられなくなった物語でした。


shiro






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[ 2019/04/28 00:00 ] お話「や行」 | TB(-) | CM(0)

貧乏絵かきと不思議な窓のお話『春の窓』


『春の窓』

☆あらすじ☆

小さな町に売れない絵かきがいました。
部屋のストーブの燃料も買えないほど貧乏なのです。
ある日のこと、寒さを凌ぐために毛布にくるまっていますと
誰かがドアをたたきました。
出てみると、そこには一匹のまだらの猫が立っていました。

猫を飼うとお金をかけなくても暖かくなると言う猫の提案で
絵かきはこのまだらの猫を飼うことにしました。
寝るときは猫をだいて、絵を描くときには襟巻きがわりにしたり。

それでもやっぱり窓のない北向きの部屋は寒いのです。

「南側の壁に窓を描いてください。」

壁に描いた窓の絵を魔法で本物にすると言う猫に戸惑いながらも、
夢や希望が入ってくるような窓を思い浮かべ絵かきの心は動きました。

幾日か過ぎ、南の壁に大きな窓の絵が出来上がりました。
一面広がる春の草原と、その向こうを小さな電車が走っている絵です。
そこに白いカーテンをかけると猫は長い呪文を唱えました。

そして、カーテンを開けるとそこには本物の草原が広がっていたのでした。


sougen.jpg



壁に描いた窓が本当の窓になって描いた通りの景色が広がっている。
こんな窓があったら本当に素敵だなと思いました。
私は窓から外の景色を眺めるのが大好きです。
一番好きな場所はよく利用する図書館。
図書館って外光が入らないような造りのイメージなのですが、
そこは大きな窓があって窓の方に向いて椅子が並べてあるのです。

図書館の二階から見えるのは目の前の駅のホームと家並みと畑、
あとは遠くまで続く空が見えるだけのような景色なので、
天気のいい日はその窓向きの椅子に座って空を眺めているのが
幸せを感じるひとときなのです。

物語の文中にもありますが、本当に窓っていいものです。

そして、絵かきさんのところにきた不思議な猫。
こういうお話を読むと、言葉を話す動物に会ってみたくなったりします。
言葉を話せる人間には上手く気持ちを伝えられないくせに、
言葉が話せる犬や猫になら伝えられそうな気がして。
でも実際には動物が苦手なので…矛盾してますね。

この物語の猫は、ちょっと図々しくて、口が上手くて、しっかりもの、
上から目線のちょっと苦手なタイプだったんですけれど、
うだつの上がらない絵かきさんには丁度いい相棒だったのかも。
私もうじうじして誰かに背中を押してもらわないと動けないので
この位ハッキリしてる相手の方がいいのかもしれません。

それにこの猫、絵かきさんのために「最後の魔法」を使ってくれるのですが、
それがなんだか切なくて、胸がちょっとぎゅっとなるような感じでした。

でも最後はタイトルのような爽やかなラストだったと思います。









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[ 2017/05/06 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

黒マントを着た黒猫が教えてくれた素敵なこと『ひぐれのお客』


『ひぐれのお客』

☆あらすじ☆

裏地やボタンを売っている小さなお店のお話。

ある冬の初めの日暮れ時、めずらしいお客様がやってきました。

真っ黒いマントを着た、緑の目をした真っ黒い猫。
猫のマントは上等のカシミヤです。
寒がりの猫はマントにつける裏地を探しにやってきたのです。

赤色の裏地を付けたいと言う猫に
店主の山中さんは裏地を選んであげるのですが…。


暖かい火.jpg



赤と一口に言ってもきっと思い浮かべる色は人それぞれでしょう。

太陽の赤、炎の赤や、真紅のバラの赤や、郵便ポストの赤、
オレンジがかった赤、青みがかった赤や黒が混ざったような赤。

人工的に作られた赤と、自然の中の赤。

人ひとりひとりに個性があるように、
色にも優しい気持ちにさせてくれる色や、
慰めてくれたり、包み込んでくれたりする色、
寂しくなってしまったり、攻撃的だったりする色があって、
その時の気持ちで良くも悪くも惹かれるのだと思います。

それにしても、安房さんは色の表現がとても豊かです。
文字を目で追っているだけなのに色のついた情景を
思い浮かべることができます。
思いがけない素敵な景色を見せてくれるのです。




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[ 2016/12/11 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)
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すきっぷ

Author:すきっぷ
安房直子さん作品に恋した「すきっぷ」です。

*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


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