童話作家 安房直子さんが遺した景色

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月夜の不思議な拾いもの『つきよに』




☆あらすじ☆

夜に、ねずみの子供が不思議なものを拾いました。

白くて、四角くて、いい匂いがします。

ねずみの子供は触ってみました。
ちょっと舐めてみました。
ちょっとかじってみました。

そして、それを抱えて家に帰りました。

tutu 



今日は新なのだそうですが、あえて夜のお話。

とても短いお話です。
ねずみの子供が不思議なものを拾って家に帰ると、
お父さんもお母さんもとても喜びました。
そして、三匹のねずみはとても幸せな気持ちになって、
うっとりと窓のを眺めました。

幸せな気持ちになれる出来事って、
どこに転がっているか分からないものです。

それに気づける感性をもっと大切にして、
気持ちを豊かにしていきたいと思えるお話です。

sooo 






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お月さまのいたずら『天窓のある家』


天窓のある家


☆あらすじ☆

何年か前、友人の別荘でのことです。

色々悲しいことが重なり、参ってしまったぼくに
友人がそこへ行くことを勧めてくれたのです。
「誰もいなくて静かだし、山小屋でしばらく静養してきたらいいよ」と。
そして、春の初め三日ほどを、そこでたった一人で過ごしたのでした。

その家には天窓がありました。
ぽっかりと真四角に切り取られた天井の穴にはガラスがはめこまれていて、
昼間は少し眩しいですが、夜には星やが見えました。

庭にはこぶしの木があって小屋の屋根半分に覆いかぶさって枝を広げ、
真っ白ながたくさん咲いていました。

三日目の満の晩のこと。
の光がことさら明るく、天窓の下に敷いた布団の上に、
こぶしの木の影がくっきりと落ちていました。

思わず手を伸ばして枝についたの影に触ってみると、
銀色に光りはじめました。
ぼくはその銀のを一輪摘んでみました。
すると本当にの影がつまめたのです。

朝目を覚ますと、ぼくは昨夜の銀のを握っていました。

そして一枚のの影を自分のものにしたときから、
不思議な声が聞こえてくるようになりました。

”かえして かえして 影をかえして”と。


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思いがけず何かを手に入れてしまったとき、
それがあんまり魅力的で心揺さぶられるものであったなら、
きっと、手放すのが惜しくなってしまうのでしょう。

たった一枚の花影から木の養分をもらったおかげで元気を取り戻した「ぼく」。

そして、それとは対照的な状況になったこぶしの木。

何年も経って、その後のこぶしの木のことを知り
「すまなかったな」と口にした「ぼく」の心情を思うと、
なんだか私は淋しさや諦めのような感情が湧いてきました。

本当の気持ちはどうなんだろうか。
もしかしたら、相手が人間ではなければ、後悔や謝罪の気持ちは
自然といつの間にか薄れていくような気がしたから。

それが、自分を含めての「人間」なのかもしれないと考えさせられた物語でした。

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プロフィール

青と緑璃

Author:青と緑璃
安房直子さん作品に恋した「すきっぷ」改め「青と緑璃」です。


*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


はじめに



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