童話作家 安房直子さんが遺した景色

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亀に魅入られた娘『日暮れの海のものがたり』


日暮れの海のものがたり


☆あらすじ☆

海のほとりの小さな村に縫い物の上手ながいました。
仕立て物をしている、いとばあさんと暮らしているさえと言う
どこの生まれで歳はいくつなのか、知っている者は誰もいません。

何年も前の夏の夕暮れ、いとばあさんのところにやってきたは、
追われているのでかくまってほしいと頼んだのです。

さえはこの村にたどり着く前に、大きな海との約束を破って
逃げてきたのでした。

病気で死ぬのを待つしかない好きな人を助けたいがために
の甲羅一枚と引き換えにそのと結婚するという約束を
してしまったのです。

しかし、好きな人には結婚を約束しているがいたのでした。
病気が治ったら一緒にどこかに逃げようと思っていたさえの淡い考えは
もろくも崩れ去ってしまったのです。

それからというもの夕暮れになると、さえの家の窓の下に海がやってきては
「約束忘れちゃいけないよ」と低い声でつぶやくのでした。



kikito




追いかけられているの気持ちを思うと、どれほどの恐怖だったろうと思う反面、
裏切られたの哀しさに胸が苦しくなる思いがしました。
想う人を助けたい一心ではじめから守るつもりもない約束をしたけれど、
結局好きな人と添い遂げることが出来なかった

因果報応、当然の報い、そんな言葉が頭をよぎるのですが、
それは娘にも自分のした仕打ちに気づいていることでしょう。
それでも、と結婚という気持ちにはなれなかったのです。

いとばあさんと出会えて、娘は少し救われたかもしれないけれど、
最後まで娘と亀の哀しさや辛さが重苦しく残ったままで、
なんとも言いようのない気持ちになった物語でした。







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[ 2019/11/03 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

青と緑璃

Author:青と緑璃
安房直子さん作品に恋した「すきっぷ」改め「青と緑璃」です。


*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


はじめに



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