童話作家 安房直子さんが遺した景色

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自然からのメロディ


雪の降る音

『北風のわすれたハンカチ』の中にこんな台詞があります。

「ねえ、知ってる?雪も、落ちてくるときは音をたてるのよ。」

北風の少女がくまに言った言葉です。

雪が降る表現というと「しんしんと降り積もる」なんていう表現がありますが、
この物語を読むまで雪の音というのを気にしたことがありませんでした。

雪はどちらかというと周囲の音を消してしまうという印象がありました。

安房さんは『北風のわすれたハンカチ』の中で雪の音を、
「ほと、ほと、ほと、ほと」と表現しています。

触れたら消えてなくなりそうな柔らかな表現だとおもいました。

冷たい氷のかたまりなのに、なんだか優しくて柔らかな感触をイメージしました。

ほとほとほと….png


「雪の季節は寒くて厳しい」という現実とイメージが定着していますが、
寒い季節に暖かなものが恋しくなる、そんな音なのかもしれません。

ほと、ほと、ほと…

いつか、こんな優しい雪が降る音が聞こえるようにならないかな…。



耳をすませば聞こえてくる

自然の音というとどんな音を思い浮かべますか。

風が吹く音、雨が降る音、川のせせらぎ、
鳥のさえずり、虫の声なんかも自然の音でしょうか。

せせらぎ.jpg

私は気持ちに余裕がなく生活している時には
この自然からの音楽に気づく感覚が鈍くなってしまうようです。

大雨、台風などはさすがに気づきますが(^_^;)

最近、ヒーリングミュージックを聴いたりしているのですが、
その中には水の流れる音やさざなみ、鳥のさえずりなどが収められていて
聴いていると気持ちがリラックスして眠ってしまうこともあります。

自然の音には気持ちを落ち着かせ、
疲れた心を癒してくれる作用があるのですね。

今更ながら、自然からの有難い贈りものだと気づきました。

この素晴らしい贈りものに気づける心の余裕を
無くさないようにしたいものです。


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[ 2013/09/16 00:00 ] 自然と共に | TB(-) | CM(0)

北風の少女が教えてくれたこと『北風のわすれたハンカチ』


『北風のわすれたハンカチ』


☆あらすじ☆

寒い山の中にひとりぼっちのくまが住んでいました。

家のドアにはこんな張り紙がしてあります。

”どなたか音楽をおしえてください。
 お礼はたくさんします。 くま ”


あるとき、熊の家の扉をトントンとたたく音がしました。
重い扉を開けると、髪の毛からつま先まで冷たい青色をした男の人がいました。
その人が乗っている馬もたてがみからひずめまで真っ青です。

嫌な感じはしましたが、男の人が持っている金色の楽器を見つけると、
熊の心は明るくなっていきました。


tora.jpg



北風が置いていったハンカチ

北風の忘れ物がハンカチだなんてなんだろうって。
『北風のわすれたハンカチ』というタイトルが目を引きました。

ハンカチが風に飛ばされて旅をしていくお話が
頭に浮かびましたが全く違いましたね(笑)

タイトルは「わすれた」になっていますが、
私は故意に「置いていった」ような気がしています。

「いつかきっと、ハンカチを受け取りにまた来るよ」という
メッセージを込めた北風の少女の優しさが感じとれました。


音楽さえ覚えれば淋しくなくなると思っていた一人ぼっちのくまが、
北風の少女とのつかの間の幸せな時間を過ごした
優しくて暖かい気持ちになるお話です。




音楽に癒されたいという想い

この物語のくまは、音楽さえ覚えれば淋しくなくなる、
何もかも忘れられると思って、
楽器を教えてもらいたいと思っていました。

私が最も共感したところです。

音楽はずっと、そして今も、私の心の拠り所です。

悲しい時には、優しいメロディに慰められ、
嬉しい時にはアップテンポの軽快なリズムを楽しんだり、
気持ちが荒んでいる時には攻撃的な曲を聴いたりしたこともあります。

ヘッドホン.jpg

音楽の中に身を委ねていると、
現実を忘れられるような気がしていました。

良いことも悪いことも、楽しいことも悲しいことも
全て実態のないもの、現実ではないものだと思えて
現実逃避の道具にしていたような時期がありました。

でも、音楽に逃げるのって一過性のものなんだと
今は思うようになっています。

今、私にとっての音楽は現実逃避するための道具ではなくて
悲しい時や辛い時の気持ちに寄り添って
落ちて行きそうな気持ちをすくい上げてくれるような、
嬉しいことや楽しいことがあったときには
一緒に喜んでくれているような、
大切な存在になりました。



「雪も、落ちてくるときには音をたてるのよ。」

北風の少女は、雪にも風にも雨にも歌があることを
くまに教えてくれます。

吹雪.jpg

普段気にも止めない自然にも確かに歌があることを
気づかせてくれたのです。

今の時代はたくさんの音が溢れています。

いつでも好きな時に好きな音楽が聞けて、
家電製品も音が鳴って教えてくれるし、
音がなく過ごすことなんてないんじゃないかと
思えるくらいです。

私も以前は、何か音楽やテレビの音が無いと淋しくて、
とりあえずテレビを付けるのが習慣になっていました。

この物語は自然にも音楽はあるんだよと
教えてくれています。

何も付けずに無音のような中に身を置くと
それでもしっかり自然の音を感じられる時があります。

風の音、雨の音、木々の葉が風に触れる音、
最近では水の流れる音に癒しを感じたりしています。

自然が聞かせてくれる音楽に耳を傾ける時、
何か大切な事を伝えてくれているような気がしています。



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プロフィール

青と緑璃

Author:青と緑璃
安房直子さん作品に恋した「すきっぷ」改め「青と緑璃」です。


*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


はじめに



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