童話作家 安房直子さんが遺した景色

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ひとりぼっちのおばあさんと不思議なスカーフ『黄色いスカーフ』


『黄色いスカーフ』


☆あらすじ☆

春間近のある朝、外出時に大きなスカーフを持っていくと便利だという
新聞記事を読んだ、一人暮らしのおばあさん。

なるほど、私も試してみようかしらと、たんすの中から
目も覚めるような鮮やかな黄色い絹のスカーフを取り出してみました。

すると、心が明るくなってどこかへ出掛けたくなりました。

いそいそと、濃いオリーブ色の新しいワンピースに着替えて、家を出ました。

並木道を歩いていると風が吹いて髪が乱れたので、
さっそく黄色いスカーフで髪を包んでみました。

そして、通りがかりのクリーニング屋のガラスに写った自分を見て
たちまち真っ赤になってしまいました。

頭にカナリヤ百羽乗せてるみたいな派手な姿だと思ったのです。

大急ぎで黄色いスカーフをむしり取ると、クシャクシャに丸めて
バッグに放り込みました。

急ぎ足で歩きながら、おばあさんは恥ずかしくてたまりません。

すると、いきなりバッグからこんな声が聞こえてきました。

「ひろげて、ひろげて」
「こんなにクシャクシャにされたんじゃ、息もつけない」

それは、バッグに丸めて放り込んだ、黄色いスカーフの声でした。


kiki



ひとりぼっちで暮らしている主人公のおばあさん。
春が近づく陽気に誘われてどこかに出掛けてみたくなりました。

こんなときに、電話でもかけて気軽に話のできる娘でもいたら…
という思いが湧き上がってきましたが、まだ元気だし、住む家もあるし、
お金にも困っていないのだから、そんな贅沢は言わないことにしましょうと、
思いを打ち消していきます。

そして、「私は幸せ者です」と、自分に言い聞かせるように
一人で出掛けて行くのです。

不幸じゃないけれど、なんだか胸にある淋しさに気づく瞬間。

けれど、これまでの生活は自分で選んできたことも事実。
それを分かって、何不自由なく暮らせている自分は幸せだと…。

少し切なさや淋しさを感じてしまうお話なのですが、
初春の雰囲気や暖かい季節の楽しみも感じられる作品です。

黄色いスカーフ、黄色いオレンジ、黄バラ、
黄色いカナリヤ、黄色いブリン

桜のピンク色も可愛いけれど、黄色も春に似合いますね。





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[ 2019/03/31 00:00 ] お話「か行」 | TB(-) | CM(0)
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Author:すきっぷ
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*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


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