童話作家 安房直子さんが遺した景色

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森の小さな病院とうぐいすのお話『うぐいす』


『うぐいす』


☆あらすじ☆

森の中に、年取ったお医者さんと年取った看護婦さんの夫婦だけで営んでいる
古い小さな小さな病院がありました。

玄関のドアには「みならいかんごふさんぼしゅう」の張り紙がしてありますが
まだ来てくれる人はいませんでした。

お医者さんも看護婦さんも疲れ切っていました。
この病院も、もうおしまいにしなければならないだろうかと思うのですが、
頼ってやってくる村の人たちを思うと、なかなか決めかねずにいました。

ある春の明るいお月夜の晩でした。
「こんばんは」と玄関で呼ぶ声がしてお医者さんが出てみると、
とても小柄な若い娘が立っていました。

そして、「わたし、看護婦さんになりにきました」と言うのです。

それは以前怪我の治療をしてあげたうぐいすでした。

怪我をして病院の庭に倒れていたところを近くの子供が拾って
お医者さんに預けた緑色の小鳥でした。



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このお話の絵がとても素敵で好きです。
森の中の小さな病院。
お医者さんと看護婦さんご夫婦。
そして、小枝のように華奢で小さいうぐいすの看護婦さん。

春の柔らかさを感じられる絵で、本のページをめくるたびに
優しい気持ちになりました。


寒さの中にも暖かい陽射しが混じるようになった今日この頃。
そして、うぐいすの声を聞く回数も増えてきました。

姿は見えないのに、あの「ホーホケキョ」って鳴き声が
どこからともなく聞こえると春の気配を感じられて嬉しくなります。





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せんせい、早く「ひみつ」を取り出して下さい!『鳥』


『鳥』

☆あらすじ☆

夏の夕方、腕が良いと評判の耳のお医者さんの診療所に
一人の少女がかけこんで来ました。

聞いてはいけなかった「ひみつ」を
日が沈むまでに大急ぎでとって欲しいというのです。

その秘密とは少女が好きになった少年は
実は魔法をかけた赤い海藻の実を食べて人間になった鳥で、
その秘密を誰かが知ってしまったら
日が沈むと少年は鳥に戻ってしまうのです。

少年に実を食べさせた魔法使いは少女に言いました。
「あんたが話を忘れられるか、腕のいい耳のお医者に
ひみつを取ってもらえたら話は別だけどね」と。

だから少女は耳にコトンッと落ちてしまった「ひみつ」を
取り出してもらおうと慌ててやってきたのです

少女の話を聞いて耳の中を覗くと、確かに何か光るものが見えたのです。
それは白い一輪の花のようでもありました。


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少女と少年の悲恋と思いきや、最後に素敵な秘密が少女に用意されていました。
私は安房さんのこういうさりげない優しさが好きです。

私が一番惹かれたのは「耳のお医者さん」でした。
「秘密を取ってください」なんていう突拍子もない少女の話。
バカにせず、真剣に向き合ってくれたから、
少女の耳の中の秘密にも気づいてあげられたのだと思います。

そして、少女が去ったあとの思いがけない素敵な真実。
それを少女に知らせるためにお医者さんは外へ飛び出していきます。

「教えてやらなきゃいけない!」
そうさけぶと、お医者さんはそとへとびだしました。
夕暮れの道を、いちもくさんに走りました。
少女の耳の中に、もうひとつの、すてきなひみつをいれてあげるために
一心に、追いかけていきました。


私は、この最後の追いかけていくくだりが一番好きです。
私だったらたった一度きり会った人のために
こんなふうに真剣に向き合えるだろうかと思うと、
お医者さんの優しさが溢れているような気がして
いつもこの場面で泣いてしまいます。




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プロフィール

すきっぷ

Author:すきっぷ
安房直子さん作品に恋した「すきっぷ」です。


*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


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