童話作家 安房直子さんが遺した景色

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おばあさんの針箱と不思議な縫い針『小さい金の針』


『小さい金の針』


☆あらすじ☆

おばあさんの針箱は古いバスケットです。
ずっと昔に、お嫁に来るときに持ってきたものです。

バスケットには、小さな赤い針刺しとハサミと糸巻き、
ボタンを入れた小箱が入っています。
針刺しには大きい針と小さい針がそれぞれ三本刺さっていて、
おばあさんは針仕事が終わると必ず針の数を数えました。

ある日のこと、針刺しに見たことのない針が一本刺さっていました。
お日さまの光だろうかと思うほどの金色の小さな針です。
針の数が増えるなんて、これまで一度もありませんでした。

ある晩のこと、真っ暗闇の部屋の隅っこがなんだか不思議な感じに明るいことに
気づきました。
それは、針箱のバスケットの小さな割れ目からこぼれている青い光でした。

「まあ、針箱の中に電気がついてる」

急に楽しくなったおばあさんは、そっと蓋を開けてみました。
すると、小さい青いランプが灯っていて、その光に照らされて
とても小さな白いねずみが針仕事をしていたのです。

harihari 



お裁縫をしているおばあさんとねずみの様子をみていると
母のことを思い出します。

母もよく縫い物をしていて、それを見ているのが好きでした。

布を裁断して、手縫いしたり、ミシンを掛けたりして
形作られていくのを見るのは本当に楽しかったです。

手際よく裁断した布をスイスイ縫っている様子は簡単そうに見えて、
私にも出来るんじゃないかと思っていたのですが、それがさっぱり。

やっぱりセンスなんでしょうか、手先の器用な人って憧れます。






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[ 2019/05/11 00:00 ] お話「た行」 | TB(-) | CM(0)

さっきは赤かぶをありがとうございました。『みどりのはしご』


『みどりのはしご』


☆あらすじ☆

小さな小さな庭の真ん中に、大きな大きなモチノキがある家に、
そのおばあさんは住んでいました。

近所の人は木を見ては、切っておしまいなさいと言うのですが、
おばあさんにはそんな可愛そうなことはできませんでした。
おばあさんはその木がとても好きなのです。

冬が終わると、おばあさんは木の下に小さな畑を作りました。
そして、赤かぶの種を十粒蒔きました。

すくすく育った赤かぶはやがて食べごろになりました。

そんなある朝、おばあさんがかぶの数を数えてビックリ!
たしかに十本あったはずなのに、九本しかありません。

「あれまあ、いったい誰が一本取ったんだろう。」

しばらくすると電話がかかってきて、その相手はこんなことを言いました。

「もしもし、おばあさん、さっきは赤かぶをありがとうございました。
これからサラダを作りますから、どうぞ食べに来てください。
モチノキのはしごをずうっと登ってきてください。」



mmmc



大切に育ててきたおかげで、すくすく育った赤かぶ。

食べごろになってサラダにしようと楽しみにしていたのに、
断りもなしに採っていくなんて。

もし私だったら
「差し上げたつもりはありませんけど?!
ありがとうの前にごめんなさいでしょ?」
なんて、チクリと嫌味の一つでも言いたくなると思います。
しかも、木に掛けられたハシゴを登ってきてくださいですって?!

外に出て木を見ると、確かに細いハシゴが掛かっています。
そして、おばあさんはハシゴをどんどん登って行くのです。

ただののんびり屋でお人好しな人だと思っていたけど、
結構大胆で好奇心旺盛でポジティブなのでした。

きっと、赤かぶを取られたことなどもうすっかり気にしてないのでしょうね。

挿絵も綺麗で、柔らかい色使いが青葉の爽やかな季節に合っていて、
清々しい緑とおばあさんの表情に優しい気持ちになりました。


akkk





「令和」の時代が始まりました。
今朝は昨日の雨が上がって、天気も良く清々しい一日の始まりでした。
これからどんな時代になるのか、どうぞ宜しくお願いいたします。


greee







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[ 2019/05/01 00:00 ] お話「ま行」 | TB(-) | CM(0)

ひとりぼっちのおばあさんと不思議なスカーフ『黄色いスカーフ』


『黄色いスカーフ』


☆あらすじ☆

春間近のある朝、外出時に大きなスカーフを持っていくと便利だという
新聞記事を読んだ、一人暮らしのおばあさん。

なるほど、私も試してみようかしらと、たんすの中から
目も覚めるような鮮やかな黄色い絹のスカーフを取り出してみました。

すると、心が明るくなってどこかへ出掛けたくなりました。

いそいそと、濃いオリーブ色の新しいワンピースに着替えて、家を出ました。

並木道を歩いていると風が吹いて髪が乱れたので、
さっそく黄色いスカーフで髪を包んでみました。

そして、通りがかりのクリーニング屋のガラスに写った自分を見て
たちまち真っ赤になってしまいました。

頭にカナリヤ百羽乗せてるみたいな派手な姿だと思ったのです。

大急ぎで黄色いスカーフをむしり取ると、クシャクシャに丸めて
バッグに放り込みました。

急ぎ足で歩きながら、おばあさんは恥ずかしくてたまりません。

すると、いきなりバッグからこんな声が聞こえてきました。

「ひろげて、ひろげて」
「こんなにクシャクシャにされたんじゃ、息もつけない」

それは、バッグに丸めて放り込んだ、黄色いスカーフの声でした。


kiki



ひとりぼっちで暮らしている主人公のおばあさん。
春が近づく陽気に誘われてどこかに出掛けてみたくなりました。

こんなときに、電話でもかけて気軽に話のできる娘でもいたら…
という思いが湧き上がってきましたが、まだ元気だし、住む家もあるし、
お金にも困っていないのだから、そんな贅沢は言わないことにしましょうと、
思いを打ち消していきます。

そして、「私は幸せ者です」と、自分に言い聞かせるように
一人で出掛けて行くのです。

不幸じゃないけれど、なんだか胸にある淋しさに気づく瞬間。

けれど、これまでの生活は自分で選んできたことも事実。
それを分かって、何不自由なく暮らせている自分は幸せだと…。

少し切なさや淋しさを感じてしまうお話なのですが、
初春の雰囲気や暖かい季節の楽しみも感じられる作品です。

黄色いスカーフ、黄色いオレンジ、黄バラ、
黄色いカナリヤ、黄色いブリン

桜のピンク色も可愛いけれど、黄色も春に似合いますね。





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[ 2019/03/31 00:00 ] お話「か行」 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

すきっぷ

Author:すきっぷ
安房直子さん作品に恋した「すきっぷ」です。

*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


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