童話作家 安房直子さんが遺した景色

安房直子さんの作品を紹介しています。
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ひみつ ひみつ 誰にも言えない『うさぎ屋のひみつ』


うさぎ屋のひみつ


☆あらすじ☆

キャベツ畑の隣の小さい家に住んでいる若い奥さん
可愛らしくて気立てが良いのですが、大変な怠け者なのです。

家のことすべてが面倒で、朝旦那さんが家を出てしまうと、
日がな一日、窓のそばで椅子に腰掛けてレースを編んだり、
本を読んだり、一面のキャベツ畑をぼんやり眺めていたりするのです。

そして、夕方になるとため息を付いて
「あああ、今夜のおかずは何にしよう…」とつぶやくのです。

ある夕方のこと、窓のそばでやっぱりため息をついていると、
外でいきなり変な声がしました。

奥さん、今夜の夕食、お届けしますよ。」

外を見ると、そこには白いデニムのエプロンをかけたうさぎが立っていました。
そして、”夕食宅配サービス うさぎ屋”と書かれた名刺を差し出したのです。



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うさぎ屋のメニューには見ているだけでヨダレが出そうなほど
美味しそうな料理が並んでいました。

買い物も行かず、調理もせず、ただ待っているだけで一流の料理
食べられるのですから怠け者の奥さんには願ってもない話です。

でもね…、最近ふと思うのです。
家事や仕事で忙しい人や、なんにもやりたくないっていう怠け者だけが
夕食作るのしんどくて、うさぎ屋を利用するのでしょうか?

きっと毎日毎日、来る日も来る日も食事を作り続けている人は
時々、作るのが嫌になって、たまには誰かに作ってもらいたいよって
思うこともあるのではないでしょうか。

うさぎ屋の会費は月初めにアクセサリーを一つと交換で
ひと月の間、美味しい夕食が運ばれてくるのです。
これだったら、ちょっと試しに一ヶ月お願いしたくなります。

それにしても、欲というのは際限無いなとつくづく思いました。

そして、なんだかんだあっても、みんなたくましく生きているんだなと、
思わず笑ってしまったラストでした。


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もうすぐ一年生『うさぎの学校』


うさぎの学校


☆あらすじ☆

まり子はランドセルを買ってもらいました。
赤いピカピカのランドセルです。
ランドセルにノートやえんぴつを入れて毎日学校へ行く練習をしています。

「おかあさん、いってまいりまあす」

「はあい、いってらっしゃい。気をつけて」

お母さんはいつも楽しそうに笑って送ってくれます。

まり子は近くの野原を一周りして、また「ただいまー」と帰ってくるのです。


ある日の事、原っぱの桜の木のあたりで不思議な声を聞きました。

「おかあさん、いってまいりまあす」

「はあい、いってらっしゃい。気をつけて」

まり子はびっくりしました。
誰?私とおんなじこと言ってる ひと…。



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私の小学生の時代にはランドセルの色は赤と黒しかなくて、
当たり前のように女の子は赤、男の子は黒を背負って学校に行っていました。

今はいろんな色があってカラフル、好きな色を選べるのが羨ましいです。

赤が嫌だったわけでも、黒のほうが良いと思ったこともありませんし、
他の色があったらなと思ったこともありませんでしたが、
色を選択できる現実を目の当たりにすると、なんだか急に羨ましくなります。

今ではデパートでも売ってるし、テレビのCMなどでも目にすることはあるので
カラフルなランドセルにいまさら驚くこともないのですけれど。

でも、大人になって道で色とりどりのランドセルの小学生の列に出会うと、
いまだに嬉しくなって見てしまいます。
赤やピンクや紺や茶色のランドセル、自分が小学生だったらどれを選ぶかな?と。
空色のランドセルいいな~とか。


真新しい好きな色のランドセルを背負った新一年生に会えるのは
もうすぐですね。





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[ 2020/03/29 00:00 ] お話「あ行」 | TB(-) | CM(0)

踊りが上手になりたいお嬢さんへ『うさぎのくれたバレエシューズ』


うさぎのくれたバレエシューズ


☆あらすじ☆

その女の子はバレエ教室に通い始めて5年も経つというのに
踊りが上手になりませんでした。

くるくると鮮やかに回れないし、先生の言うとおりに手も動きません。

それでも、音楽が鳴れば踊りたくてたまらなくなるのです。

女の子の願いはたったひとつだけでした。

「どうか、踊りが上手になりますように」


ある朝のこと、不思議な小包が届きました。
それは一足のバレエシューズでした。
そして、一緒に入っていたカードにはこんなことが書かれてありました。

「踊りが上手になりたいお嬢さんへ 山の靴屋」


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好きなのに、それが上達しないもどかしさや辛さ。

自分なりに頑張っているのに思ったように出来なくて、
他の人達がどんどん先に行ってしまう不安で押しつぶされそうになる。

願うだけでは叶わないと分かっていながらも、月や星、遠い山にまで
お願いをしてしまう気持ち。

これまでに何かに夢中になって、それでもうまく行かなかった経験がある人には
この少女の気持ちを自分に重ねてしまうのではないでしょうか。

物語のように、笑顔で終われなかった結果であったとしても、
夢中になれることが見つかって、もっと上を目指して努力する気持ちは
失くしたくないと思いました。

なにかに夢中になっているときって、私はただひたすらに楽しいですから。





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[ 2019/05/19 00:00 ] お話「あ行」 | TB(-) | CM(0)

雪に埋もれた小さな家から聞こえてくるのは『すずをならすのはだれ』


すずをならすのはだれ


☆あらすじ☆

寒い寒い2月のこと。

真っ白な森の中を、真っ白なうさぎが通りかかりました。

「よもぎの葉っぱを三十枚、ハコベの葉っぱを十五枚…」

うさぎはこれから森の向こうの町までおつかいに行くところです。

あんまり急いでいたので、ツルッと滑ってしまいました。
滑った拍子に、をかぶった小さな一軒家にドシンとぶつかってしまったのです。

小さな家の扉には磨き上げられた銀色のが付いていて、
”ごようのかたはすずをならしてください”なんて書いてあります。

すっかり嬉しくなったうさぎの紐を引っ張ってみました。

ちり、ちり、ちり…

すると家の中からこんな声が聞こえてきました。

「とびらのすずをならすのは、だれ?」

きれいな、優しい声でした。


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厳しい寒さが続くと、暖かいが待ち遠しいのは人間も動物も植物も
おんなじなんですね。

動物たちがの下に眠っている花や草の種たちを励ます歌を歌ってるなんて、
私も仲間に入れてもらいたくなりました。

もうはとけるよ、陽射しもやわらかくなってきたよって、
凍えそうな種に歌声で元気を届けたくなりました。

日本には四季があって、夏秋冬、どの季節も大切なときです。

でも、私は寒い季節が苦手なので早くが来ないかなって思ってしまいます。

あと十日ほどで分の日です。

眠っていた植物の種が芽を出すのも、もうすぐです。

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[ 2019/03/10 00:00 ] お話「さ行」 | TB(-) | CM(0)

ひとりぼっちに訪れた素敵な出会い『だんまりうさぎとおしゃべりうさぎ』


だんまりうさぎとおしゃべりうさぎ

☆あらすじ☆

働き者だけれど友達がいない一人ぼっちのだんまりうさぎ

毎日一生懸命畑仕事をして、疲れたら寝転がって雲を見て、
日が暮れると家に帰り、黙ってごはんを食べて、
夜になったら星を見ながら眠るのが日課です。

ホコリを被った電話は一度も鳴ったことがありません。

ある朝のこと、大きなカゴを持ったうさぎがやってきました。
カゴの中のくるみ餅を畑の野菜と交換して欲しいというのです。


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だんまりうさぎの思いの葛藤が自分と似てるなと思いました。
友達が欲しくないわけじゃないけれど、
相手とどうコミュニケーションをとったらいいのか分からないのです。

畑で採れたカブでサラダを作りながら、誰かに分けてあげたいなと思ったり、
おいもを落ち葉で焼きながら、誰かと一緒に食べたいなと思ったりする
だんまりうさぎがとてもいじらしく思いました。

そんな時に、突然現れたおしゃべりうさぎ。
勝手に台所でくるみ餅を焼きはじめたり、
たくさんの話も終始おしゃべりうさぎのペース。
それでもだんまりうさぎは楽しくなってきました。

きっと自分が話すより相手の話を聞くのが好きなのです。
相手が楽しそうに話をしているのを見てるだけでもいいのです。

帰り際、電話をかけると言うおしゃべりうさぎに、
だんまりうさぎは、電話は好きじゃないと答えます。
すると、また遊びにくるわと言うおしゃべりうさぎ。

このやり取りが私はとても嬉しかったのです。
初対面の人に電話を断られたら、普通なら拒否されたと思いませんか?
「もう連絡取りたくないってことなのかな」って。

でも、だんまりうさぎはただ電話が苦手なだけなんです。
それを上手く伝えられないだけなんです、きっと。

だから、おしゃべりうさぎが「また遊びに来るわ」って言ってくれた時、
きっと、とてもとても嬉しかったに違いありません。










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[ 2017/04/29 00:00 ] お話「た行」 | TB(-) | CM(0)

くまの楽器屋さんと寒がりうさぎ『はるかぜのたいこ』


はるかぜのたいこ

☆あらすじ☆

一匹のうさぎがやってきました。

うさぎはセーターの上にオーバーを着て、
厚い靴下の上にブーツを履いていました。
おまけに手袋と襟巻き、マスクをしていました。

そして熊のお店の前に来たとき「はっくしょん」と
大きなくしゃみをしました。

気づいた熊はお店の中から大きな声をあげました。
「おや、誰かと思ったら寒がりうさぎさん」

あったかくなるいい方法を聞かれた楽器屋さんは
「そんならいい楽器がありますよ」と持ってきたのは大きなたいこ

うさぎがチカラいっぱい、どーんとたいこを叩いて目をつぶると、
あたたかい風がふうっとかかってきました。


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春の風を連れてくるたいこ
ひとつ、またひとつ叩くたびに春を感じられる。
あの何とも言えない振動に乗せて春風を連れてくるのでしょうか。

楽器なら、案外できるかもしれないなんて思ってしまう。

「音」って見えないのに不思議です。
楽しかったり、嬉しかったり、悲しみや怒りだったり、
いろんな表情が見えるみたいに感じるし、聴こえるのです。
錯覚なのかな、でも錯覚でもいいんです。

そういえば、春の音ってなんでしょうね。
山間部じゃないと雪解けのせせらぎの音なんて聞こえませんし、
木々の芽吹く音や、桜が舞う音…聞いてみたいですけど。

現実的なことを言うと、私はウグイスの声くらいしか思い浮かびません。
春先にちゃんと「ホーホケキョ」って鳴けない声が聞こえたりするの
けっこう好きです。
「がんばれっ」って心の中で言ってみたりして。









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[ 2017/03/12 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)

森の中で出会った不思議なうさぎのお話『トランプの中の家』


『トランプの中の家』



☆あらすじ☆

「私」と妹あつ子はお母さんからお使いを頼まれて、
おばさんの家に行くために森の中を歩いていました。
そこで姉妹は一枚のトランプを持ったうさぎに出会います。
このうさぎはおやしきの料理番だというのです。
しかも、そのおやしきはうさぎが持っているトランプの中に
描かれている大きな家。

妹をおいてトランプの中に入り込んでしまった「私」の
うさぎの国での不思議なお話です。


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アリスへのオマージュ

うさぎとトランプと森、不思議な国と言えば…。
この物語は『不思議の国のアリス』のオマージュ的要素を含んだ作品のようです。

でも、不思議の国で冒険するというような感じじゃなくて、
こんなふうにうさぎたちが暮らしてる世界があったら
見てみたいなと何気なく思わせるような印象を受けました。
出てくるうさぎたちがコミカルで楽しい物語です。

usausa.jpg





姉の誕生日

随分お久しぶりの更新です。
もう、12月。
あっという間に今年もあと十日足らずとなってしまいました。
街はクリスマスムードでいろんなものが華やかになっています。
12月といえばクリスマスですが、私にはもう一つ大切な記念日があります。
それは四歳上の姉の誕生日なのです。

子供の頃から姉は本当に「お姉ちゃんらしい」姉でした。
いつもわがままいっぱいの私の面倒をみてくれていました。
気がつくといつもそばにいて、はぐれないように私の手をギュッと握ってくれていました。
その優しさがその時の私には当たり前のことでした。
きっと、いろんなことを我慢していたのかもしれません。
でもそんな思いをおくびにも出さずいつもそばにいてくれました。

そんな姉はその後保育士になりました。
子供の頃からの夢だったそうです。

今、両親が他界して、姉は私の母親がわりのようです。
姉は家庭があるので離れて暮らしていますが、
今でも事あるごとに気にかけてくれて、
あの頃のように手を握ってくれているような安心感をおぼえます。

この物語の「私」はおばさんに渡すように頼まれたケーキと
妹の手をひいて出かけていきました。
そして、妹といえば「びっくりするほど頑固」なのです(笑)
しっかり者の姉と頑固者の自分とあまりに似ていて笑ってしまいます。
姉の誕生日近くになると思い出す物語です。

そういえば、『となりのトトロ』に出てくるメイちゃんを
姉は私にソックリだと言っていましたっけ。
サツキちゃんを見ていると姉の大変さが分かります(^_^;)








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[ 2014/12/21 00:00 ] お話「た行」 | TB(-) | CM(0)

ある寒い日、不思議な石けりの輪を見つけたら…『初雪のふる日』


『初雪のふる日』


☆あらすじ☆

ある秋のおわりの寒い日、
どこまでも続く石蹴りの輪を見つけた女の子。

輪の中に飛び込んで石蹴りを始めると、
いつしか雪が降り始めました。

もう随分遠くまできてしまったようです。

雪も激しくなってきたので、
「もう帰ろうかな。」とつぶやいたとき、
たくさんの白うさぎが石蹴りをしながら
うしろから続いて来ていることに気づくのです。

そして、女の子は初雪のふる日にやってくる
白いうさぎの群れに巻き込まれてしまったのです。


雪うさぎ.jpg



明けましておめでとうございます。

もうすっかり寒い冬ですね。

皆さんの地域はもう雪は降りましたか?

私の住む地域はこの年末年始とても良い天気でした。

今日も風は冷たいのにきれいな青空です。

今シーズン、私の住む地域はまだ雪が降っていないんです。

年末に雪やみぞれの予報が出たことはあったのですが、
ただの雨に終わりまして、それっきりです。

雪が降ると通勤の心配で頭がいっぱいになってしまう私にとっては
雪が降らないのは嬉しいことこの上ないのですが、
やっぱりこの時期には子供の頃の雪遊びを思い出してしまいます。

私が子供の頃はもう冬休み前には積もるほどの雪が降って、
寒くても楽しくてずっと外で雪だるまを作ったりしていました。

雪だるま.jpg

いつだったか、まだ小学校に上がる前、
家の庭で一人雪で遊んでいた事がありました。

何をしていたのか…やっぱり雪だるまでも作っていたのかな…

長い時間外にいるので母やきょうだいが心配して、
家に入るように言いに来てもいうことを聞かずにずっと一人で外で遊んでいました。

次の日、朝起きようとしたら頭が重くて起き上がれない。

私は高熱を出して風邪をひいてしまったんです(笑)

思い出したら、笑ってしまいました。

私は子供の頃から頑固だったなって。

変なところで頑固だから、親きょうだいの話を聞かずに失敗してきて、
あ~子供の頃から変わんないなって、自分のことながら笑ってしまいました。



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[ 2014/01/04 00:00 ] お話「は行」 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

青と緑璃

Author:青と緑璃
安房直子さん作品に恋した「すきっぷ」改め「青と緑璃」です。


*安房直子さんご本人や関係各所とは一切関係ありません。


はじめに



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